4. 登録の実行
(1) 変更登録の方法
変更登録をなすには、船舶原簿の当該事項欄の旧事項を朱抹し(注)、朱抹した欄の次の欄に、船舶の総トン数の改測の結果、作成された総トン数計算書に基づき新事項を記載し、記事欄に変更の事由を記載することを要し(手続27条1項)、また登録年月日の欄に登録した年月日を記載することを要する(手続24条)。なお、船舶原簿の記載方法の一般通則については、新規登録の場合と同様である。
(2) 登録完了後の手続
船舶の変更登録が完了した場合に、管海官庁は申請者に対してその登録が完了した旨の証明書は交付しないが、前述のような船舶国籍証書の書換申請がなされるから、その登録に基づき、新事項を記載した船舶国籍証書を交付する(細則34条本文)。
なお、管海官庁の内部手続として登録が完了したときに、船舶登録事務取扱簿に必要事項を記載することは、新規登録の場合と同様である。
(注) 登録に際しては、積極的な記載をなすほかに、既存の記載を朱抹する場合がある。朱抹とは、ある記載に朱の線を引くことをいい、実務上は、ある登録事項の全部を朱抹する場合には、当該欄の全体にわたり斜線を引くことによりなされている。
第3款 船舶の船籍港の変更登録
1. 船舶の船籍港の変更が生ずる場合
船舶の船籍港の意義については前述したとおりであるが(第3章第2節参照)、船籍港自体又はその名称は変更することがある。すなわち、
(1) 船舶所有者がその住所を他の市町村の区域内に変更した場合には、原則として船籍港はその市町村に変更する(細則3条3項本文)。
(2) 船舶の所有権が移転した場合には、原則として新所有者の住所たる市町村に船籍港が変更する(細則3条3項本文)。
(3) 行政区画の変更により、船籍港は変更することがある。
(4) 船籍港たる市町村の名称の変更により、船籍港の名称もまた変更する。
2. 申請手続
1において述べた船籍港に関する変更のうち、行政区画又はその名称の変更による場合は一般的変更であるから、個々の変更登録をなすことなく、船舶原簿の記載は当然に変更したものとみなされる(細則26条)、すなわち、当該官吏が、変更登録若しくは登録訂正をなすとき、船舶原簿の謄本若しくは抄本を作成するときその他便宜のときに、職権による登録訂正の手続により、その変更をなすのである(手続27条ノ2)。また、この場合において、管轄管海官庁に変更を生じたときは、管海官庁は職権をもって転属の手続をなすべきことは前述のとおりである