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1. 日本船舶と外国船舶

船舶の有する国籍(第2章参照)を標準とする区別であり、日本の国籍を有する船舶を日本船舶とし、日本国籍を有しないものは特定の外国の国籍を有すると否とを問わず、外国船舶とする。

この分類の実益は、主として、日本船舶は、外国船舶が有しない特定の特権(法2条、3条等)及び特別の義務(法6条、7条等、船舶安全法1条参照)を有する点にある。

 

2. 商船と非商船

船舶が、商行為をなす目的のため、航海の用に供せられる(商法684条参照)か否かによる区別であり、商船(海商法上の船舶)に属するものとしては、貨物船、タンカー、旅客船、移民船、救助作業船、工作船、水先案内船等がある。非商船に属するものとしては、漁船、快遊船等がある。もっとも、航海の用に供せられる船舶は、官庁又は公署の所有に属するものを除き、非商船であっても、商法海商編の準用を受けられる(法35条。同条にいう官公署の所有船とは、立法趣旨からして、公用に供される船舶と解されている。したがって、その所有船であっても、公用以外の用に供されるときは、海商法の準用があり、また私有船であっても、公用に供されるときは海商法の準用がない。)から、この分類による実益は少ないと思われる。

 

3. 登簿船(登記船)と不登簿船(不登記船)

船舶が、登記及び登録に適するか否かによる分類である。登記をなし、かつ、船舶国籍証書の交付を受けることができ、またこれをなすことを要する船舶を登簿船(登記船)とし(商法686条、法5条参照)、これらをなすことができないものを不登簿船(不登記船)とする(商法686条、法20条参照)。なお、不登簿船のうち、船籍票の交付を受けることを要する船舶(法21条、船籍政令1条参照)を船籍票船という。

この分類の実益は、所有権移転の対抗要件(商法687条)、貸貸借の登記(商法703条)及び抵当権の目的(商法848条、850条、851条)につき、異なる取扱を受ける点にある。

 

4. 汽船と帆船

船舶の運航装置を標準とする分類である。汽船とは、主として機械力をもって運航する装置を有する船舶をいい、蒸気を用いるか否かを問わない(細則1条2項)。帆船とは、主として帆をもって運航する装置を有する船舶をいい、推進機関を有するか否かを問わない(注)(細則1条3項)。この概念による汽船及び帆船の区別は、船舶法上船舶の種類として船舶原簿に登録される事項である(法5条、細則1条、17条ノ2・1項3号)。その認定の手続については後(第4章第3節)に述べる。

この分類の実益は、船舶安全法、海上衝突予防法、船員法(同法71条)、船舶職員法(同法5条、別表1)等の適用及び救助料の分配(商法805条)等につき、異なる取扱を受ける点にある。

(注) 船籍票に記載すべき汽船又は帆船の区別は、運航装置の有無及び利用の程度を基準として定められるものである(船籍政令2条、同省令2条)から、登簿船の汽船又は帆船の区別とは規定の表現が異なるが、その意義は同様である。ただし、海上衝突予防法においては、機関を用いて推進する船舶は動力船とされる。また、機関を用いて推進する船舶であっても、帆を用いて動力を用いてないときは、帆船とみなし、動力を用いている船舶は、帆を用いているか否かにかかわらず、動力船とされることに注意すべきである。

 

5. 航海船(海船)と非航海船(内水船)

船舶の航行区域を標準とする分類である。航海船とは、平水区域以外の航行区域をその航行区域とする船舶をいう。内水船とは、平水区域をその航行区域とする船舶をいう。

この分類の実益は商法の適用又は準用の有無の差異を生ずる点にある(商法684条、法35条)。

 

 

 

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