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発刊にあたって

 

海洋国と云われながら、わが国の海洋に関する知識の普及は非常に限られており、一般の方がなんらかの形で海洋の現象に疑問をもたれたり、仕事あるいはレジャー等に関連して具体的に海洋の利用を計画されたとき、どこに質問し相談すべきかが全く分からないと考える方がほとんどであるのが現状である。日本財団のご援助により、本年5月に海洋情報研究センターが日本水路協会の中に設立されたのも、このような状況を改善することが目的の1つとなっている。すなわち、海洋データ・情報を通して、またそれを利用し易い形にまとめたデータプロダクツを通して、海洋知識の啓蒙を行なうとするものである。このたび第九管区海上保安本部の方々が中心となって、日本海を対象として「海洋利用の手引き」を発行しようという計画があると聞いたときに、その計画に賛成し、その刊行を全面的に援助したいと考えたのも、このような背景があった訳である。

この手引きの作成には、部長を始めとする第九管区海上保安本部水路部の方々が中心となりまとめられ、第二管区・第八管区海上保安本部の方々が参画されたと聞いている。これら関係者に対して、そのご努力に心から感謝の意を表させていただきます。当研究センターの刊行物として、その内容について若干の変更をお願いしたり、記述についても誤解を招きかねないものについては改善をお願いし、専門的過ぎるものは易しくしていただいた。関係者の方々のご寛容に心から敬意を表する次第です。現状では、記述について海上保安庁に直接関連する部分が特に詳しく、また内容が日本海中部に特に詳しいというようなアンバランスが残されている。しかし、このような海洋利用に関する手引書が非常に少ない現状から、拙速と云われようと、まず刊行することが必要であると考えた次第である。表題に「日本海編」「普及版」と唱ったのは、まず刊行して、各方面の専門家あるいは一般ユーザー等、多くの方のご批判・ご意見をいただいて、より完全なものをできるだけ早く再刊行したいという計画をもっているからである。さらに、必要に応じて、他の海域についても同様の手引書を発刊していきたいと考えていると今後とも、関係する方々に多くのご援助・ご協力をお願いすることになると考えます。宜しくお願いします。

 

平成9年9月

日本水路協会海洋情報研究センター所長

永田 豊

 

 

 

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