4. 港湾工事の現状
4.1 国内の施工能力
浚渫埋立工事を含めた港湾関連工事は、国営建設会社、国内、海外の民間建設会社によって施工してきた。
1960年代後半から70年代にかけて日本企業もフィリピンに進出し、マニラ湾における埋立工事に参画している。契約工事完了後、日本から搬入し工事に使用したポンプ浚渫船等の作業船の一部は、日本に持ち帰ることなく、フィリピンの国営建設業者に売却したものもあり、国営建設会社はこれらの作業船を使用して自ら埋め立等の施工を行った。
作業船の運転は、日本企業に雇用されオペレータとしての指導を受け運転の経験を積んだ現地の技術者が行っていたと聞いている。しかし、これらの作業船保有隻数は限られており、新規大型プロジェクトは、大半が国際入札で日本、韓国、欧州勢の建設業者の施工によることが多く現在もその傾向にある。
国営建設会社は現在陸上関連の工事を主力にしており、保有作業船は民間会社に売却し、民間会社が請負施工している。しかし、作業船も老朽化がはげしくメンテナンス等に費用が嵩み保有会社としても課題は多い。
現在港湾工事を専門とするフィリピンにおける大手民間建設会社は数える程であり、国内における施工能力には限界がありそうである。
PPAが保有している作業船は、維持浚渫等の仕事が主であり、新規工事に使用する程の能力、規模は有していない。
また、国内における作業船の建造能力もないに等しく、台船等を除き大半が海外からの輸入である。
4.2 日本の技術援助の現状
4.2.1 有償資金協力
現在実施中の条件はバタンガス港開発プロジェクト及び小規模港湾プロジェクトである。
(1)バタンガス港開発プロジェクト
バタンガス港の開発については、1985年のJICAベースの開発調査結果に基づき、1988年にエンジニアリングサービスのためのOECFからの融資がなされ、1990年に詳細設計が終了した。1991年3月に第1期計画実施のためのOECFローンが決定している。6つのRo-Roバース、4つのフェリーバース、2つの内貿雑貨バース等の建設・改良プロジェクトであり、不法占拠者の排除も大部分終了し、建設工事は1995年2月2日にスタートしている。現在の予定では1997年中に第1期計画を終了させたい考えである。