?A経済発展とその恩恵への公平な配分
?B貧困対策
?C安定した外交関係構
?D環境問題へ配慮
?E指導力の維持
を挙げており、新大統領に対しても抜本的な経済・社会改革を推進するより強い指導力の発揮が求められることになると思われる。
また、ラモス大統領は同国のミンダナオ島、マレーシアのサバ州、サラワク州、インドネシアのスラウェシ島にブルネイを加えた地域共同開発計画である『ASEAN東部成長地域(EAGA)構想』を提案しており、この構想が新大統領のもとで今後どのように進展していくかは注視に値する。
2.2 経済
同国は1950年代に輸入代替工業化政策を導入し、1965年に成立したマルコス政権は財政拡大主義による輸出志向型工業化政策への転換を図った。しかし、政財界の癒着による過度の産業保護政策により、輸出競争は向上せず、資本財・中間財産業の発達も停滞し、1970年代を通じ経済の構造改革は大きく立ち遅れた。
この結果、輸入に依存する過剰消費構造に加え、経済成長に伴い資本財・中間財輸入も増加、貿易・経常収支赤字が拡大する構造となっていった。さらに不安定な政情から、直接投資の流入は進まず、資本流出も発生し経常収支赤字の補填を対外借入に依存していった。対外債務危機、マルコス政権崩壊後の混乱から経済は安定感を欠き、1980年代の実質GDP成長率は年平均1.6%と低迷、高成長の波に乗る域諸国内から大きな遅れを取っていった。
1992年就任したラモス大統領は、インフラ整備、規制緩和などで着実な成果を上げ、経済も少しずつ上向き、1995年のGDPは農業部門の不振を製造業部門の高成長が補う形で前年比4.8%(GNPは同5.5%)の成長を記録した。
1996年も好調な建設部門や農業部門の急回復などから前年比5.7%(GNPは6.9%)と成長が加速した。政府は輸出の好調などを理由として、97年のGNP成長率を7〜8%とやや高めの見通しを発表している。
電力事情好転などインフラも改善されつつあり、税制改革、規制緩和など経済の構造改革に向けた関連法案が最優先で審議されている。また、経済回復の原動力となってきた直接投資は、承認ベースで1996年に大幅なインフレ要因ともなった 弱な農業部門の存在や各種改革に対する反発も予想され、今後も5〜6%での持続的成長は十分可能であると考えられる。