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2. インド共和国の概要

 

(1)国土

インド共和国はインド亜大陸に位置し、日本の約9倍(329Km2)の国土を有している。国土は逆三角形で、先端はインド洋に突き出している。海岸線は長く西海岸および東海岸からなり、総延長は約8,000kmに達する。国土の東側ベンガル湾にはガンジス川が西側アラビア海にはインダス川がそれぞれ注いでおり、流域には肥沃な土壌を形成し、古代より文明を培っている。

インドの気候は、内陸部およびデカン高原の冷涼な気候を除けばモンスーン気候によって代表される。すなわち、4月から10月までは南西モンスーン季となり、インド洋からの高温湿潤な南西風が卓越し、多量の雨をもたらす。一方、11月から3月は北東モンスーン季となり、大陸からの乾燥した北東風が卓越し、降雨は少ない。

 

(2)歴史

インドの歴史は、インダス川流域、スインド州のモエンジョダーロやパンジャップ州のハラッパーを中心としたインダス文明から始まる。この世界の4大文明の発祥地の一つのあった地域は、今はパキスタンとなっている。

この最初の文明は、北方からのアーリア人の侵入により取って替わられる。

アーリア人はガンガー川およびジャムナー川の周辺に定着し、B.C.7世紀マガダ国およびコーサラ国等の強国が現れる。ブッタが仏教を開いたのはこの頃である。

B.C.327年アレキサンダー大王がインド北西部まで遠征してきたが、わずか2年で引き返した。

B.C.320年にはマガダ国を継承した第2代アショーカ王が南部を除くインド統一を成し遂げる。アショーカ王は仏教に帰依し巨大な帝国を築くが、アショーカ王の死とともに滅びる。

A.D.320年クプタ王朝が再びインドを統一し、クプタ朝の勢力が衰えるとともに地方勢力が独立して、国を興し群雄割拠の時代となる。8世紀頃、アフガニスタン方面からムスリム諸侯の侵入が始まり、12世紀にはトルコ系ムスリムによりデリーに王朝が開かれた。

その後1526年バーブルによりムガール帝国が誕生し、ほぼ同時期にヨーロッパ諸国の海岸進出が始まり、次第に植民地政策を取り始める。ポルトガル、英国、オランダおよびフランスにより植民地争奪戦となり、これに英国が勝ち残り18世紀後半にはインドの実質的な支配となった。第一次大戦後、インド人自身の中から急速に半植民地運動が起こり、マハトマガンディーのもとに反英闘争が展開され、第二次世界大戦後の1947年、インドは独立する。同時に東西パキスタンがインドから分離独立し、1971年東パキスタンが西と分離し、バングラディッシュとなった。

 

(3)民族、宗教

インドには、9億近い人口に見合うだけの多彩な宗教が存在し、ヒンドゥー教、イスラム教、スイク教、ジャイナ教、キリスト教、ゾロアスター教等がある。

その中で、ヒンドゥー教徒が全人口の8割を占め、その信仰は現在、ヴィシュヌ・グループとシヴァグループの二大勢力に分かれている。

 

 

 

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