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1. 調査の目的

 

港湾、海洋工事用作業船は昭和30・40年代において隆盛となった国土造成及び港湾工事に対応して、新型・大能力の大型作業船が続々と建造されてきた。その後、経済の安定成長期にはいると環境関係の小型特殊船と関西空港工事用作業船が建造された外は建造件数が著しく減少した。今後も国内での作業船需要の大幅増加は期待できず、作業船業界は苦境に立っている。一方、海外に目を転ずると韓国、香港、シンガポールを初めとして各地で大規模海上空港建設工事等が見られ、そこでは新型の大型作業船が稼働しているが、我が国の作業船建造受注は極めて少なく、ヨーロッパの造船業界に大半のシェアを占められている。

このような状況を打開するため、適切な施工法と作業船利用計画について調査することによって、開発途上国における当該事業がODAによる資金協力プロジェクト対象となりうるかを含め、我が国の作業船を利用できるかについて検討する。その上で、可能性のある事業について関係者に働きかけ作業船建造の促進に寄与しようとすることとなった。

このため、我が国の作業船関連技術を網羅した英文の作業船要覧を作成し、海外に配布するとともに海外の海洋・港湾開発事業の情報を収集・分析して、それぞれの事業内容に対応する作業船の開発とその適切な利用について提案し、作業船整備に関する我が国との協力関係を構築することを目的として調査を実施することとなった。

 

 

 

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