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は じ め に

 

我が国作業船技術は、第2次世界大戦の荒廃の中からの復興を果たすため、資源の少ない我が国産業活動に不可欠な原材料輸入と製品移輸出のための港湾復旧を本格的に開始したことから飛躍的に発展した。1965年からの約20年間は、土地の少ない我が国にあって臨海工業用地確保が大きな課題となり、さらに経済的、効率的な港湾施設が求められ、全国各地で港と工場用地とを一体化した建設プロジェクトが大規模に展開され、この間における作業船技術の進展は目覚ましく、世界的にもきわめて高い評価を受け各国に多くの作業船を輸出するまでになった。

 

一方、あまりに短期間に進められた経済発展と生活向上とは、環境に対する負荷を飛躍的に激増させ、その結果、全国で自然破壊が進み多くの公害が発生した。このような状況から公害防止が国民の総意となり、あらゆる分野でその対策と防止が図られ、海洋環境保全のための作業船技術開発も急速に進められた。

このようにして進められてきた作業船技術の活用は、その後、経済発展が鈍化するなかで国内需要が減少すると同時に、著しい円高為替相場と相まって作業船輸出に大きなブレーキとなり輸出実績が大幅に減少している。

 

その後の国際経済から為替相場も次第に安定していることから、当協会は、我が国作業船技術を再び広く世界に紹介し、特に開発途上国の発展に寄与するとともに作業船の輸出振興を図ることが必要であると考えている。そのため、開発途上諸国の作業船需要動向を調査することがとりあえずの急務と考え、平成8年度と平成9年度の2ヵ年計画で、日本財団からの補助金を受け作業船需要動向調査委員会を設置し、問題点の検討、各種データの整理分析及び海外調査を進めてきたところである。

 

平成8年度においては、

?@委員会において各種データの収集と分析を行うと同時に、

?A作業船技術を紹介する英文冊子「THE WORKVESSELS IN JAPAN 1997」を発刊し、在日外国公館へ送付した。

?B海外調査は、インドネシア、ベトナム、ミャンマーの3ヵ国に調査団を派遣し、同英文冊子により技術紹介を行うと同時に、現地関係機関からの情報を収集し、意見交換をおこなった。

 

平成9年度においては、

?C昨8年度に引き続き海外調査を、インド、タイ、フィリピンの3ヶ国に対して実施し、2年間にわたる作業船の需要動向調査事業は終了した。

 

 

 

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