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●経済的施策では

CO2削減のためのプログラム

 

●地球温暖化の特異性

C02がもたらす影響は、これまでの公害問題とはその性格が異なります。それは、地球環境への影響が、現在よりもむしろ将来にあり、発生源と被害との直接的な因果関係が見いだしにくく、被害の範囲はきわめて大きいということです。このため、国家や地球レベルでの対応が求められるとともに、従来の直接的な規制に加えて、経済的な施策実施に向けてのプログラムも必要になるという主張があります。

 

●新たな経済的施策としての炭素税

その経済的施策のひとつとして、C02の排出に関する環境税、または環境賦課金として考えられたものが“炭素税”です。その典型的なものは、化石燃料を対象としてその炭素含有量、つまり発生する炭酸ガスに応じた課税制度で、フィンランド、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマークではすでに導入されています。社会全体として、最小コストで最適な資源配分がなされ、また排出抑制の国民へのアナウンス効果もあり、有力な施策とされています。

 

●運輸部門に特化した経済的施策

運輸部門のみでC02排出抑制へ向けた税、賦課金などの経済的施策を導入しようという考え方があります。

 

●税収の使途

これらの税収を、CO2の発生源である各部門への対策に使うことは、有効で現実的な方法です。例えば、環境にやさしい交通システムの整備や、関連の技術開発への使用が考えられます。

 

●いまなされるべきこと

これらの施策とともに、国民一人ひとりのC02の排出抑制にむけた、自覚とコスト意識は何よりも必要です。炭素税の導入をふくめ、国民的な論議の展開が求められています。

 

炭素税先進国ヨーロッパ

ヨーロッパでの炭素税の導入は早く、フィンランドを始めとする5カ国が90年代初めに導入に踏み切りました。EC全体でも早期の導入を目指して検討が進んでいます。スウェーデンの場合、炭素税導入に当たって既存のエネルギー税を引き下げ、付加価値税を引き上げました。結果的に化石燃料を大量消費する経済活動に多くの税負担がかかる仕組みになっています。環境税としての炭素税は、税収を効果的に使って環境保全に役立てることができ、「往復」の効果が期待できます。

 

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