日本財団 図書館


a. 実験の概要

事故の翌夏、Inipol EAP22を使用し、続いて炭化水素量を大規模に調査したところ、1年以内に沈澱物中の汚染物質の90%が消失(バイオレメディエーションを行わなかった地域の消失率は15%)しており、無使用時と比べて、6〜9倍の生分解率が観察された。

このように、実際の事故対応でバイオレメディエーションの効果が確認されたが、データがあまり残っていない。

 

(6)実験時期不明[3]

1985年のKings Bayでのディーゼル灯油88,000Lの流出事故を、Sveumが調査している。2カ月の風化を経て実験がなされた。Unreplicatedプロットが4つつくられ、3つにInipol、残りの1つは栄養塩なしであった(これは参照プロット1として用いた。)。Inipolプロットのうち一つは、ディーゼル灯油流入の2カ月後にInipolを使用し(実験プロット1)、2つ目のプロットは6カ月後(実験プロット2)、3つ目は7カ月後(実験プロット3)に使用した。また、夏の間に2つのunreplicatedプロットが追加してつくられ、一つは栄養塩なしのコントロール(参照プロット2)とされ、もう一つはInipolを使用(実験プロット4)した。

生分解はn-C17/pristanen-C18/phytane率の変化で計測された。冬の間につくられた2つのプロットでは、Inipolのプロットが栄養塩なしのプロットに比べてnormal/branchedアルカンの60%が消失していた。夏の実験データからは、両者の違いは見受けられなかった。統計分析は報告されていない。

反省点としては、replicationプロットの欠如により、実験は手順による影響、実験の偏向、実験のばらつき、もともとのばらつきなどを計算にいれることができないでいる。これらから、実験エラーが推定されず、浄化効果が正当に評価できない。

 

(7)1989年のSveumとLadousseの調査[3]

a. 実験の概要

スピッツベルゲンKings Bayで異なる海浜物質において親油性栄養塩Inipol EAP22をテストした。ある実験では砂地を汚染し、またある実験では細粒lagoon(珊瑚、潟)地を使った。砂地の実験ではプラスチックの入れ物2つを使い、一方にInipolを、もう一方は何も加えなかった。同様の実験をlagoonでも行った。

双方とも、入れ物を潮間地帯に置き、人工的にデイーゼル油6L/?で汚染した。

親油性栄養塩は一回しか使用しなかった。

b. 結果

120日後、Inipol使用した砂地の入れ物では、栄養塩なしのプロットよりも、n-C17/pristanen-C18/phytaneの減少率が大きかった(約30%)のに対し、細粒lagoonでは両者に変わりはみられなかった。この実験では比較データは実験最終日(120日目)のみである。調査者は、2種類の土壌における生分解の違いを、Inipolは粗粒物質によりよく分割(partitioned)され、そのため、潮の満干

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION