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換え装置を設けてもよいが、一方のレーダーが故障したときに、もう一方のレーダーに電源断などの不当な影響を与えないような装備とすることが規定された。

 

この新しい勧告の全文の和訳を次章に示した。この決議の国内法規化は、電波法において昭和59年1月30日付けで無線設備規則の改正が(但し、この条項の施行は同年3月1日)、また、無線機器型式検定規則の改正が昭和59年2月20日付けで行われ、同じく3月1日に施行されている。また、船舶安全法も昭和59年8月末に改正された。

1974年のSOLA条約はその改正手続の一つとして、IMOの拡大海上安全委員会の決定によって改正ができることになっているが、1981年の秋に開催された拡大海上安全委員会では、第5章12規則の航海用レーダー関係の改正とARPAの導入について次のような改正を決定し、所要の手続き後、1984年の秋に発動することになった。

(1)レーダーを装備する船舶を1600GTから500GTに拡大した。

(2)10,000GT以上の船舶にARPAを装備することが、在来船への一定の経過措置と例外規定を含めて新しく規定された。

 

IMOでは、1979年以降海上遭難安全通信手段を改善するため、最新の技術を導入した全世界的な海上遭難安全システム(GMDSS:Global Maritime Distless and Safety System)の検討が行われていたが、1988年11月GMDSSの導入に関し、SOLAS条約第?章(救命設備)、第?章(無線通信)、第?章(航行の安全)を中心に大幅な改正が行われ、1992年2月1日以降順次施行されている。

この改正の中で、遭難船や生存艇(救命艇と救命いかだ)にはレーダー・トランスポンダーを搭載して、それらへのホーミングには、従来の方向探知器や中波のホーミング装置(実質的には、この両者を合わせた方向探知器を使用する。)に代わってレーダー・トランスポンダーが使用されることになった。

このレーダー・トランスポンダーは、9GHz(波長3cm)帯のレーダー信号に応答する様になっているので、これに対応してSOLAS条約の第?章も改正され、船舶への搭載を義務づけられているレーダー(2台のレーダーの搭載を義務づけられているときには、そのうちの1台)は、1995年2月1日以後は、9GHz(波長3cm)帯のものでなければならないことになった。

1974年SOLAS条約の1988年改正により、1995年(平成7年)2月1日以降は、9GHz(波長3cm)帯レーダーを装備すべき船舶が総トン数500トン以上の船舶から、国際航海に従事する旅客船及び総トン数300トン以上の船舶に拡大された。

 

 

 

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