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がある。

ベース・バイアス電流の必要性は次のように説明される。(以下、直流に重畳される交流電圧・電流は小文字で表す。)図5・3において(a)のベース・バイアス電流IBのない場合、図の(a)のような入力信号電圧viが加えられたとすると、ベース電流iBはviがVBEのカットオフ電圧より大きくなったときだけ流れ、コレクタ電流iCもiBが流れてはじめて流れるので、それぞれ同図(a)の(b)、(c)のようになる。

コレクタ電圧VCは、iCが流れていないときはRLによる電圧降下がないので、電源電圧VCCに保たれている。viがVBEのカットオフ電圧を超えてiCが流れると、VCはVCCよりRL×iCだけ減少し、図(a)の(d)のようになる。一方、出力電圧vOはコンデンサCCを通して、直流分をカットしているので、結局図(e)のようになる。vOはviがVBEのカットオフ以下では欠けてしまい、増幅器としては不完全なものである。一方、適当なIBが流れているときは、図5・3(b)のようにviが変化しても常にiB、iCは流れ、正常な増幅が行われることになる。

ここで特に注意すべきことは、図5・3から分かるように、入力電圧の(+)が出力電圧の(-)側に、(-)が(+)側に出てくるということである。入力波形が図のような正弦波であれば、出力の位相は入力の位相に対して180°ずれて逆位相になる。

 

 

 

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