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が分かると三次元での位置(x,y,z座標又は緯度,経度,高度)が求められる。しかしながら,各衛星に搭載されている極めて精度の高い時計と受信機の時計には誤差があるので,受信機でこの僅かな誤差を計算しなければ,各衛星からの正確な伝搬時間,距離が求められない。従って,三次元測位には,最低4衛星からの電波を受信する必要がある。

GPSの測位精度は,水平方向でほぼ100m,垂直方向で156mとされている。しかしながら,沿岸や港湾内では,更に高精度の測位が要求されることもあり,DGPS測位の利用が進んでいる。これは,緯度,経度が正確に測量されているGPS基準局で受信,測位して求めた各衛星までの距離と,各衛星の放送軌道暦による衛星位置と真の基準局位置とから求めた計算距離との差を,擬似距離補正データとして放送するもので,利用者はその値を各衛星からの擬似距離に加えて補正し位置を求める。測位精度は,10m前後といわれている。

 

2・13・12 その他の航法装置

 

(1)ロランC受信機

ロランCは,100KHz帯のパルス波を使用することにより,地表波と空間波(地表と電離層との間を反射しながら伝わる電波)との区別が容易にでき,安定している地表波を使い精度の高い位置測定を比較的遠距離(1500マイル)まで行うことができる。

ロラン航法は,主局と従局で一組となる二つのロラン局から同期して発射される電波を受信し,その到達時間差を測定することにより船の位置線を求める方式である。この位置線は,電波の到達時間の差が等しい点の軌跡であり,主従二局の位置を焦点とした双曲線である。

船位の決定には,二組以上の組局の電波を受信して,それぞれの位置線の交点から船の位置を求めるものである。

(2)デッカ受信機

デッカは,長波を使用した双曲線航法の一方式で,ロランと違い連続電波の位相差を測り位置の線を求め船位を定めるものである。

一つの主局と三つの従局が一組となり構成され,これをデッカチェーンと呼び40数チェーンで運用され,測位有効距離が昼間で350マイルの中近距離航法システムとして,高精度の測位が可能である。

 

 

 

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