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指令舵角信号を、設定方位との誤差、誤差の微分値、誤差の積分値の和で出力する。

指令舵角度=Kp×比例舵十Td×微分舵十Ki×積分舵

比例舵は誤差に比例した舵角で、例えば船首が左に10°ずれていれば右に10°である。微分舵は誤差の微分値に比例した舵角で、結果的に船の動きを止めるブレーキとして働く。例えば誤差ゼロでも、誤差がプラスに増加しようとすれば(船首が左に振れているので)、右に舵角を取ることになる。積分舵は誤差を積分した値に比例した舵の角度で、風などによる偏流成分を解消するように働く。

なお、前式で、Kp、Td、Kiは係数で、本船の特性に応じて設定する必要がある。通常は、公試運転時にメーカが設定し、運航中に乗組員が様子を見ながら微調整する。

自動針路保持装置は、その船首方向やドリフト(風・潮圧差)を補正して自動航路保持装置(Tracking Control System)の一部として動作しても良いが、自動航路保持や手動操舵から自動針路保持へ切り替えた場合には、その時の船首方向を設定針路と見なして制御を始めることになっている。なお、自動針路保持装置には、舵角制限のための手段も設けられている。

操舵装置の一部である操舵輪(遠隔操舵装置)やノンフォロアップ(NFU)レバーなども同じ操舵室に装備されることから、自動針路保持装置と一体になった製品も多い(<図3.11.2>参照)。手動の場合は、操舵輪を回転することによって直接指令舵角信号がラダーサーボアンプに加えられ操舵機制御装置を駆動するので、舵角は指令舵角に追従する。NFUモードは直接、操舵機制御装置の駆動信号をNFUレバーから送る。したがって、故障などの不測の事態の最も少ないモードである。レバーをP(Port)又はS(Starboard)に倒している間、舵は動作するが、フォロアップしないので、元に戻すには逆方向にレバーを倒す必要がある(常に舵角計を見ながら操作する必要がある)。

 

 

 

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