● 群波現象(Group Waves)
実際の海がいろいろな波長、波高、波向きを持つ多くの成分波からなる不規則な海面であるにも係わらず、その中をある条件の追波状態で走るとき、船の後方から大きな波を立て続けに受けるという現象。
これは、空間的には波高の高い規則的な波は存在しないのに、時間的には波高の高い規則的な波を連続的に受けるという現象であり、復原力減少やブローチングなどの危険な状態を誘発する可能性が高い。
操船ガイダンスでは、波乗りの発生防止と群波現象との遭遇回避のためにそれぞれの危険領域を示し、船速や針路の変更によって危険領域外で航行するように指示している。
このように、現時点では縦波中の危険は操船により避けることが提唱され、設計における基準は制定されていない。しかしながら、縦波中で復原力が変動することがこれらの危険現象が発生する原因であると考えられることから、その変動量を設計時に見積もっておくことが船舶の安全性において重要である。そこで、ここでは復原力が変動する原因と縦波中での危険現象、そして復原力の計算方法について説明する。