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9. 如何なる拡大する事故からも脱出する手段を設けること。この目標は、人員が拡大する事故を生き抜くことができるようにすることにある。

 

Marsリスク管理目標に適合するための計画(リスク管理実施計画)

Marsリスク管理目標を達成するために開発される計画の概要は以下の通りである。

1. 目標を達成するための計画の第一は、一人の専任の技術者をプロジェクト・チームに割り当てることであった。彼は、プロジェクト・チームの主要メンバーとして参加し、リスク管理目標をプロジェクトに組み込むための実施計画を作成することを課せられた。彼はまた、Marsリスク管理実施計画を達成するために必要となる入力源を明確にし、入手する任務を負わされた。

2. プロジェクトに投入される初期リスク管理の設計と費用は、リスク管理技術者(RME:Risk Management Engineer)によって開発される、設計の出発点として与えられる一連の規範的な設計ガイドラインの作成にあった。全ては、その後のより厳密な危険分析技術による確認又は不認可に従うことであった。

3. 初期のプロセス流れ図(PFD's:Process Flow Sheets)と配置図を基礎とする予備危険分析(PHA:Preliminary Hazard Analysis)を実施すること。この目的は、全体的リスクの問題を明確にし、軽減策の費用対効果率が最も高い時にはそれらをプロジェクトの中で早期に処理することにあった。

4. 詳細なプロセス・計装系統図(P&ID's:Process and Instrumentation Drawings)における危険・操業可能性研究(HAZOPS:Hazard and Operability Studies)を実施すること。これらの研究は、この技術の典型として、主要処理装置の構造上の詳細見直しであるように計画された。

5. 人的要素エンジニアリング(HFE:Human Factors Engineering)関連の入力のためのHFEコンサルタントとPHA及びHAZOPを促進し、文書化するための専門的なリスク管理のコンサルタント・チームをプロジェクト・チームに参加させることによって、ハイレベルのリスク管理の専門的知識をチームに提供すること。

6. 緊急時対応・消火プラン(Emergency Response/Fire-Fighting Plan)を作成すること。この目的は、Mars操業本部に十分に詳しい緊急時対応・消火プランを作成させることにあった。そうすることによって、そのプランを実施するのに必要となる設備とphysical plantがその費用対効果率が最も高い時には設計に早期に組み込むことができた。

7. 変更管理プロセス(Management of Change process)を作成すること。この作成の成果は、提案された変更が設計に組み込まれたリスク管理の主要点を損ねず、提案された変更によって軽減されない新しいリスクを作り出さないことを確保することにあった。

8. 選択された問題について定量リスク評価(QRA:Quantified Risk Assessments)を行うこと。QRAは、異なる意見がたくさんあり、信頼できるエンジニアリングに関する事実が乏しい場合の、問題を解決し難い主要な側面について選択的に実施された。

 

 

 

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