電源をすべて使用しても試運転時には難しい。したがって,小型船ではメーカでの工場運転成績または軽負荷運転で代行することが多い。
造船所の場合,移動水抵抗器を使用して負荷運転を行っている。したがって,整備場所における可能な範囲での負荷運転を行い,据付当初及び整備前の負荷運転性能と対比し,どの程度性能を発揮(回復)しているか把握する。
11)受検
検査対象船舶の場合,最終確認運転がおわった後,海上公試を受ける。海上公試の結果は2・23表に記載する。
12)整備・修理完了報告書の作成
整備工事の完了した時点で,今まで作成してきた工事仕様書(作業結果記入のもの),主要部品点検結果(2014表),主要部品及びその他寸法成績表(2・16〜2・22表),運転成績表(海上公試成績表)(2・23〜2024表)等をまとめて完了報告書を作成する。
これを機関履歴簿として保管管理することが大切である。
1.3 整備・修理の日程管理
整備作業,修理作業を効率よく実施するためには,船主と詳細な打合せを行い作業の日程計画を立案する必要がある。計画立案に際しては,整備または修理の内容,例えば定期,中間,臨時検査の種類をはっきりさせるほか,機関履歴簿(サービスカルテ),あるいは前回整備時の検査記録や,機関長が記録した運転データをもとに,交換を必要とする部品を推定し,必要とする部品の入手予定などを調べ,日程計画を作ることが大切である。なお,作業の着手前に,費用概算の見積書を提出し,船主の了解を得ることが,後々のトラブル防止となるので是非実行する必要がある。また,作業着手前にリーダを決め,リーダの指示で作業を進めるとともに,検査対象機関の場合は,関係書類を整備工場で作成し,船主を通じて受検申請を行い,受検日時を事前に確定しておく必要がある。作業の進捗状況については,責任者が毎日フォローし,計画通り推進するよう関係者全員が協力する必要がある。
2.整備工場
2.1 整備工場での業務
整備工場における業務を大別すると,次に示す整備業務と修理業務に分けられる。
1)整備業務(故障の発生予防)
故障の発生を未然に防止するため,定期的に主要機能についてチェックを行い,必要に応じ部品交換や調整を行い,常に機関を良好な使用状態に維持することである。
特に,舶用機関においては一部の機関を除き,船舶安全法によって定期検査と中間検査等が義務づけられている。