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ステップがないことで、ステップでの転倒事故も防げますので安全性に優れていると乗務員は評価しております。

降車時間につきましては、通常のバスより若干早くなっている程度です。交通局では4枚折れ戸を使っておりまして、ノンステップバスの降車口の中扉はこれよりも若干狭いということで、時間的にはあまり変わらない感じです。もう一つは、後方からお客さんが中扉に下りて来るところで時間がかかっているのかなと感じております。

車いすでノンステップバスに乗車されたお客様は、アンケート調査当日にはありませんでしたが、4月から7月までの4か月間に延べ60人の方にご利用いただきました。この二つの路線はリフト付きのバスも運転しておりまして、リフト付き合わせまして、4か月に約200名の方が利用されています。このうちノンステップバスを利用された方は延べ60名でした。前から比べると非常に乗りやすくなったというお便りもいただいております。

車いすの乗降用にスロープ板を設けております。構造や操作がリフトに比べますと簡単になって、以前から比べると取り扱いの時間が早くなったと乗務員は評価しております。ノンステップバスの普及を図るために手動式のスロープ板にして価格の縮減を目指しておりますが、乗務員は当然電動式のほうが便利だと評価しております。

先ほど車内での車椅子固定の方法という質問がありました。現在、床にあるフックにベルトで車輪を固定するような形になっています。これは意外に時間がかかります。例えば壁のほうにバーのようなものを渡して、これにベルトで固定する方法もあると思います。車輪には簡単なてば止めと言うのでしょうか、ハンスコ(hand scotch)みたいなものを支う方法も一つあるだろうと検討しております。

床が低いことで、停留所に正着できますと、ニーリングをしないでも床と歩道との間がほとんど平らな感じになりますので、楽に乗り降りできます。しかし、この正着が現在では非常に難しい状況です。現在ニーリングを手動でやっておりますが、扉の開閉とニーリングのタイミングがうまくいきませんと、お客様が乗り込んだときにニーリングを効かせたりして、足元が不安定になってお客様がふらつくことがあります。この辺が課題かなと思います。

いま2社のバスを入れておりますが、1社はニーリング速度が約2.5秒、片方は4秒です。4秒のほうはそれほど問題はないんですが、それでもタイミングが悪く、お客様が中に乗って歩き始めたときにニーリングをさせますと、いま片側ニーリングですので非常に不安定な感じになります。この片側ニーリングの速い上下動は、後ろ向きの座席に座っているお客さんからは「何か気持ちが悪い」という声が聞かれます。また、床が低くなった関係でエンジン等、騒音を発生する部分が相対的に高くなっております。この辺の防音の工夫は従来のバス以上に必要なことだと考えております。

これらをまとめますと、ノンステップバスの効果は高齢者・障害者をはじめ、だれもが乗り降りしやすく、乗降時の安全性が高いこと。従来のバスに比べて乗降時間の短縮が図れること。車いす用のスロープ板の取り扱いが簡単で、乗降時間が早くなることなどです。

今後の課題といたしましては、今まで縷々述べてまいりましたことのほかに、車両価格の縮減に向けた仕様の見直しとか、メーカーのコスト低減への努力と量産体制への取り組み、地上の走

 

 

 

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