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日本財団常務理事

寺島 絋士

ご紹介いただきました日本財団の寺島でございます。「乗り降りらくらくバス普及セミナー」の開催をお祝いしまして、一言ご挨拶申し上げたいと思います。

まずもって本日ここに交通エコロジー・モビリティ財団、運輸省をはじめ関係各位のご尽力のもとに、本セミナーが盛大に開催されますことを心からお喜び申し上げます。

20世紀後半の特徴といたしまして、交通の目ざましい発達があげられると思います。モビリティ、すなわち移動性とか機動力といった言葉が日常盛んに飛び交うようになりました。モビリティが向上すると人々は行動の自由を獲得して、より効率的に、より有意義に毎日を過ごすことができます。大変けっこうなことでございます。

ところが、モビリティの向上によって別の問題が起きております。交通手段を自由に使いこなせる人と使いこなせない人との格差の拡大でございます。交通が発達すればするほど、これを利用しにくい人の生活のハンデキャップが増大するのです。このような観点から、これからの住みよい社会づくりには、ハンデキャップのある障害者、高齢者の方々にもできるだけ利用しやすい交通ネットワークの形成が重要であると思います。

交通エコロジー・モビリティ財団は、このような社会のニーズに対応するために、施設の整備、情報の提供、調査研究などを行っておられますが、まことに時宜を得た活動をされていると思います。本日も、私どもの身近な乗り物でありますバスの利用向上のために、ノンステップバスに焦点を当ててセミナーを開催されました。ノンステップバスは高齢者、障害者の方々ばかりではなく、一般の方々もスムーズに乗り降りができますので、地域社会全体でバス利用者の増加が見込めるなど、社会活性化にも極めて有効であり、将来性のある交通手段であります。これからの未曾有の出来事である高齢化社会や障害者の福祉の問題をも見据えた、まことに時宜を得た意義深い企画であると思います。

私ども日本財団では、地方自治体が行う競艇の売り上げの一部を法律により交付を受け、明日のより良い社会を築くため造船振興、海難防止はもとより福祉活動やボランテイア活動、海外援助、その他の公益増進のためのさまざまな活動を支援しております。その一環として、交通エコロジー・モビリティ財団に対しても交通ターミナルにおけるエレベーター、エスカレーターの設置、交通アメニティ・ターミナル・モデル事業、交通ボランテイア育成、その他多くの事業を支援させていただいております。本日のこの「ノンステップバス普及セミナー」がご参加の皆さんにとって有意義なものとなりますれば、私どもといたしましてもこんなにうれしいことはございません。

今後のバス交通の利便性の向上とお集まりの皆様のご活躍、ご健勝を祈念申し上げまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

 

 

 

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