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のかということについて、私どもも検討を進めてまいりたいと思っている次第でございます。

運輸部門は他の産業部門などに比べまして若干おもしろい特徴があるんですね。おもしろい特徴というのは何かと申しますと、一つは国とかの単位で対策がとりやすいということです。産業部門というのは例えば鉄鋼なんかでCO2を減らすために炭素税をかけますと言いますと、鉄鋼を作るコストが高くなります。コストが高くなりますと、それだけ国際競争力が損なわれているというふうに言います。どうしても産業部門で何か対策をとりたいと思う時には、国際的にみんなで一斉に政策をとっていかないと、なかなか反対が強く、対策をとるのは難しいんですね。

ところが運輸部門というのは別に他の国がやっていてもやっていなくても、日本でできる。ヨーロッパの陸続きの国でしたら、他の国でガソリンの値段が自分の国で安いと、みんな隣の国まで国境を越えていってガソリンを入れて帰ってきてしまうということがあるので、欧州では運輸部門でも協調してやらなければならないのですが、日本は島国ですので他の国が何をしていても自分の国でできるということが一つのおもしろい特徴となっております。それから二つ目には日本国内でできるだけではなくて、その自治体レベルでいろいろなおもしろい試みができるということです。つまりその東京の運輸省さんが「ああしましょう、こうしましょう」というのを決める前に、もう自治体レベルで「うちの町はこうやって減らしていきます」というようなことを市長のお考えでイニシアチブをとっていただいてどんどん対策を進めることができるということです。

それで進めていただいて、もしもこれでうまくいけば、これは逆に世界に宣伝することができるんですよね。私もいろいろボンとかに交渉に行きまして感じるんですけれども、交渉というのは「私もやるからあなたもやって」とか、「私はここはやりたくないからあな

 

 

 

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