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このメタノールから発生する水素に酸素を加えて電気を発生させてモーターを回すというもので、アメリカのゼネラルモータース以下のビッグ3であるとかドイツのダイムラーベンツやトヨタなどが研究開発しています。

ちょっと走りましたが、以上が車の技術に関する改良です。その次に自動車の利用に関して考えてみたいと思います。今日のこの後のディスカッションは主としてこの部分がテーマになるかと思います。

旅客交通、貨物輸送等について、自動車の利用によってCO〈SUB〉2〈/SUB〉を抑制しようということはいろいろあるかと思いますが、1990年代に入ってから、交通政策の中でTDM(交通需要マネジメント)というものが導入されています。これは運輸省をはじめとして建設省、警察庁とが一体となって進められている施策です。自動車の効率的利用、時間の変更、経路の変更、手段の変更、発生源の調整ということによって人間あるいは物の移動そのものを減らす、あるいは自動車交通量の時間的な平滑化をしようというものです。これらはどちらかというと従来は渋滞対策として交通の円滑化というねらいで進められてきた訳ですけれども、こういったことがCO2排出の削減とか沿道環境、特にトラック輸送については窒素酸化物が問題にされている訳ですが、そういうものを含めた沿道環境の改善にも繋がるだろうという意味で、このTDMというのを推進していく必要がある訳です。

時間もありませんので最後のところに行きたいと思いますが、今申し上げた、今日のディスカッションのテーマに繋がりますTDMという交通需要マネジメントについてもうちょっと説明させてもらいます。

1番目に、車というものをできるだけ効率的に使うために、1台の車に2〜3人が一緒に相乗りをするとか、あるいは貨物の積載効率を上げるために共同集配をするというようなことが挙げられます。2番目に、いま新潟で行われている時差出勤というものがまさにそうですけれども、時間的なピークをできるだけ平滑化するために時間の調整をするということです。3番目が、道路交通情報などによって交通混雑を分散させるということです。現在、駐車場の案内や誘導システムなどに利用されているものです。そして手段の変更ということで、できるだけ公共交通機関を使い易くして利用してもらう。そのためにバスレーンを設置したり、あるいはパーク・アンド・バスライドを推進しようということです。

最後に、そもそも交通の発生源である“移動”というものを少なくするという意味から、いわゆるサテライト・オフィスとか在宅勤務のようなものを進めて行こうという動きがあります。これが現在進められているTDMということですが、これは最終的には車の利用者が変わってくれなければどうしようもないという性格があり、従来のように建設省、運輸省、警察庁、地方自治体というお役所だけではできないことでありまして、バス事業者、鉄道事業者、タクシー事業者という交通関連の各企業の連携・協力、最終的には移動する人、車の利用者が参加してその行動を変えて行かなければならない、そういう性格のものです。それだけに、一人でやって下さいと言っても中々難しいので、例えば1つの住宅団地、商店街、あるいは商工会議所、自動車ユーザークラブといったところがある一定の組織を作って、組織的に取り組んでもらうために、まずその組織作りから始めて行こうというのが、このTDMの施策であります。

ちょっと走ってしまってまとまりがないのですが、最初に言いましたように地球温暖化というのが、既に科学的な根拠の基に起こっている、始まっているのだということが証明されていまして、その下に運輸・交通部門に於いて、自動車交通を主体としてCO〈SUB〉2〈/SUB〉の削減に取り組んでいく必要があるということを結論として申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

 

 

 

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