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てくるカレーズ(坎児井)(アラビア語でカナートともいう)と呼ばれる方法でオアシス都市が成り立つ例である。代表的なのが吐魯番(トルファン)である。カレーズはペルシャ古語で、吐魯番では2000年前から存在する。

注:1) 天山山脈の雪線3,600〜4,400m、氷河面積954?2

パミール山脈の氷河面積2,258?2

崑崙山脈の氷河面積11,639?2

土地の人々は、氷河を「古代からのダム」と称している

2) カレーズ

天山山脈の雪解け水が山麓で、地面に浸透し地下水となったものを、山麓に水源となる井戸を堀り地下に隧道を掘って、遠くの居住地まで引く方法。この隧道を掘るために、幾つもの縦坑を20〜30?間隔で掘って、底をトンネルで繋いでいく。かってはすべて人力により整備が行われた。地下をくぐってくるので塩分を含まず、途中で蒸発して水量が減ることがない。カレーズは、イランの東南部やアフガニスタンの南部、中央アジアのフェルナガール盆地などに見られるが、トルファン盆地は、カレーズ灌漑分布圏の東端に当たる。隧道は、高さ約1.5m、幅約70?程である。長さは、3〜4?であるが、最長は20?のものがある。新疆ウイグル自治区坎児井研究会(吐魯番)の資料によるとトルファンのカレーズの全長は5,000?にも及ぶ。

 

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(3) 歴史に登場した代表的な諸オアシス小都市国家

タリム盆地の西域諸国は、小国ではあったが、シルクロードの東西交通の通過地であり、一種の中継港的な交易でかなり富んだ国であった。その富の為、盆地の外部の強力な国家や部族が強大な軍事力のもとに支配下に置こうとした。これらの富める小国家は、その時々の支配国へ貢納を納める外交手段で存在を続けた。紀元前2世紀頃には、漢と匈奴が支配を巡り激しい争奪戦を行った。西域諸国のうち天山南路と西域南路の主なものは、次のとおりである。

 

 

 

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