日本財団 図書館


<インドネシア>アンディ・マッピ・サメン(インドネシア観光副大臣・インドネシア観光総局長)

伝統的文化遺産の保護を犠牲にしての開発を優先すべきではない。文化遺産は、公共的な本質をもつものであり、特定の組織や企業が独占するものではなく又、国際的な側面を持つと指摘。ボロブドールの仏教遺跡を例に、その複雑な本質を具体的に提示。

観光開発は社会開発の一部であり、多岐にわたる開発の様々な要素とからみ合っており特に開発途上国では、西洋とはちがい文化遺産は往々にして住民の生活の場と切り離せない「生きた」ものとなっている。

この様な場合、政府の果たす役割は重要であり、文化や伝統は鍵をかけてしまいこむものではなく、常に変化するもので、それが持つ力は持続的に更新されるべきである。故に政府はその継続と変化のバランスを取る責任があるが、これは大変複雑で難しい役目である。かといって手をこまねいて何もしない「無為」も影響を生む。責任放棄せず困難に立ち向かうべきである。

 

<韓国>崔 承淡(コリア・ツーリズムリサーチ・インスティテュート(KTRI)観光政策研究室長・観光学博士)

地域文化は観光開発の主要構成要素であり、韓国政府は、文化的開発の役割を認識し、地域文化と観光の結合に関心を抱いて、地域社会における文化的観光のイベント支援を行っている。

(1994年観光局が運輸省から文化・スポーツ省に移管されたのも一例)

文化観光イベント振興策の主な内容の紹介のあと、事例として、錦山高麗人参祭を取り上げ、論じてもらった。

この様な文化観光イベントや催しの振興を通して学んだ点を以下5点紹介いただいた。

1. 企画の質の高さ

2. 地域住民のボランティア参加が不可欠

3. 催しの時期の検討

4. 観光客と地域住民双方の為に開催するという視点

5. 事後の評価

 

〈フィリピン〉シンシア・C・ラゾ(フィリピン政府観光省  国内観光促進局局長)

ここ5年間、ピナツボ火山の噴火による惨事などのマイナスイメージを克服しつつフィリピンの観光事業はめざましい成果をあげており、国際的にも注目されているとの現状の紹介があった。

次に世界的なマーケティングのための国内観光について、フィリピンの芸術文化、歴史を中心とした国内観光事業活動の展開について事例を示しての説明があった。

又、文化遺産のプロモーションについては、観光と遺産は互いに補完し、価値を高め合うとの認識をもとに、国民の文化に対する意識を高める目的を含めて、観光省は計画をスタートさせた。この具体的な事例としての遺産村やイフガオの棚田(世界遺産)が例としてあげられた。

又、世界的なプロモーションとマーケティングのための国内観光地開発について、国際協力(ASEAN)で開発中の例、ミンダナオ島のプロモーション支援他の紹介があった。

フィリピンでは国際観光をマーケティングすることは、国内観光の質の向上を図ることと密着に関係しているとの結語。

 

パンルディスカッション

「国際観光交流に於ける地域文化の活用の道を探る」

・ コーディネーター 高田 公理(武庫川女子大学 教授)
パネリスト神崎 宣武(民俗学者)
井野瀬 久美惠(甲南大学文学部 助教授)
広野 敏生(まちづくりプロデューサー)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION