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ご利用にあたって

この実施報告書は平成9年5月13日に開催した「'97APTEC国際観光交流促進シンポジウム」の記録です。シンポジウムでの講演や事例発表、パネルディスカッションの内容は一部の話し言葉等を書き改めた以外は、実際のスピーチを忠実に記録しました。当日参加された方は勿論、それ以外の方にも資料としてご利用いただくことが出来ます。また英語による事例発表は、和文に翻訳する際、一部書き改めました。

必要な箇所や、関心のある部分のみを参照されたい方は、目次と見出しをご利用ください。また「2.シンポジウムの要旨」にて、全体のダイジェストを記載し、全文を読み通さずともシンポジウムの骨格をご理解いただけるように致しました。

 

1. シンポジウムの目的

観光の中身はその土地の文化だと言われています。その地域文化に焦点を絞り、いかに国際観光交流を図るかを課題に今回のシンポジウムを開催しました。

日本をおとずれる外国人旅行者数が384万人と、日本人海外旅行者1,669万人(1996年・観光白書による)の5分の1強に過ぎないというアンバランスを是正するため、運輸省から「ウェルカムプラン21」が発表されました。このプランは「訪日観光交流倍増計画」ともよばれ、訪日旅行者数を2005年をめどに倍増させる計画です。

しかし何故訪日旅行が低迷しているのでしょうか。宣伝不足、円高、物価高、あるいは、交通機関や街中の外国語表示などの受入れ体制整備不足のためなのか。色々な原因を考えられるでしょうが、このシンポジウムが、その原因と解決策を探る上で、お役に立てる筈です。

また、今回のシンポジウムは昨年11月7日開催した国際観光交流に対する地域(自治体)の取り組みについてのシンポジウムと、それに先立って実施した自治体対象のアンケート調査(関西圏の府県、市町村の自治体中心に509箇所)を受けたものです。

 

2. シンポジウムの要旨

基調講演 河内 厚郎

工業都市の印象が強く、観光とは縁のないと思われている尼崎を例として取り上げ、近松門左衛門の文化遺産を核にした文化行政を紹介していただいた。 要旨は次の通り。

インターネットの普及を中心とした電子メディアの徹底的な発達にて、実際に現地へ出掛けることなしに、情報を人手できるようになり、従って人の集まる都市の機能は不要になるという論があるが、逆に記号化されない「場の魅力」により、交通の発達とあいまって気軽に人は移動、旅行する様になるのではないか。

又、テーマパークのような全く新しいものを作るのではなく、その地域の「界隈性」を生かした、オールドタウンの高付加価値化策を見直したい。

文明は世界どこでも通用するポータブルなものだが、文化はその土地に根ざす。もう少しこの「文化」(固有のカルチャー)を観光資源として生かす方向を考えてはどうか。

 

事例発表

3か国から出席いただいた。インドネシアは伝統文化を尊重した、バリ島の観光開発で世界的に有名であり、韓国では観光は文化スポーツ省の所管するところであり(ほかにはマレーシアも観光文化省の所管)観光と文化の繋がりを重視している。フィリピンは、リゾート地として観光産業が発達しており、いずれもある意味では日本より国際観光交流のノウハウを持っている国である。

 

 

 

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