日本財団 図書館


頑張ってます

 

◇藤原町消防本部◇(栃木県)

019-1.gif

栃木県の北西部に位置する当本部は、日光国立公園の中核日光市を背後にひかえ、温泉宿泊地として栄えてきた。国際的な観光地として鬼怒川・川治・湯西川温泉は四季折々の自然美と豊かないで湯に恵まれ、関東の奥座敷と呼ばれている。東京から電車で2時間足らず、車でも高速道路や鬼怒川バイパス開通により大変便利になり、最近の観光需要の高まりとともにホテルや旅館の設備も近代的にグレードアップされている。また、鬼怒川温泉を中心とする地域には龍王峡や鬼怒川ライン下り、 ロープウェイ、日光江戸村、日光猿軍団、ゴルフ場、東武ワールドスクウェイア等のレジャー施設が年々充実し、多様な魅力を備え、観光客も年間350万人に達するわが国屈指の観光地である。

当消防本部は昭和41年9月1日に設立、昭和56年10月1日川治分遣所開所、平成8年10月1日栗山村の事務委託により、湯西川分遺所開所、現在1本部・1署・2分遣所、51人の職員で管内面積700k?uに住む約15,500人の安全を日夜守っている。

管轄地域の9割以上が山岳地域で急斜面が多く起伏に富んだ狭隘な地形であることから、道路状況により医療機関収容まで長時間を要している。また、救急出動の約60%を観光客が占めている。出動件数も年々増加の傾向にあり、平成8年は1,013件。今後も救急出動件数の増加は続くものと推定される。現在救急救命士の有資格者は3人いるので、今後は高規格救急車の購入を計画し救命率の向上に努めていきたい。

★マル適マーク100%を目指して

当町における昭和55年11月に発生した川治プリンスホテルの火災で死者45人をだし、これが契機となり、旅館・ホテル等の表示公表制度が実施された経緯がある。その教訓を胸に、観光客の安全を守るため管内では、年1回以上の立入検査、夜間マニュアルの職員立ち会いの検証等、年3回以上の消防訓練を義務づけ、現在のマル適マークの交付率91%を100%に向けて取り組んでいる。また、消防法施行令32条の特例は認めず全対象物の旅館・ホテル等に非常通報装置を設置し、観光客の安全には万全を期している。

★対岸照明 災害時に大きな成果

鬼怒川温泉には独特な「対岸照明装置」がある。鬼怒川温泉は鬼怒川の渓間に旅館・ホテルが林立し、岩壁の高い所では30〜50mに達し、玄関は普通の建物では1階にあるが鬼怒川温泉では4階とか6階にある。このため火災等の災害時、消防活動が困難となり、観光客の避難に支障をきたす恐れがでてくる。そのために対岸照明は渓間に建てられた旅館・ホテル火災の場合、出火建物の反対側より渓間を隔てて照明し避難や消火活動を容易にすることを目的にして設置されている。1つの旅館・ホテルで3〜6基設置してあり、その照度は対岸の屋外で50〜100ルックス確保でき、過去の火災等に大きな成果を発揮している。

★災防の日 初の市街地訓練

9月1日、藤原町と県合同の総合防災訓練が「県北部に直下型の地震が発生、藤原町で震度7、近隣の市町で震度5を記録。ホテル火災が発生、数名の逃げ遅れがある」との想定で、消防、警察、自衛隊など37機関と住民が5,200人参加。市街地で、ホテル火災の消火や救助(写真)に的確に当たるための訓練が実施された。

最後に星消防長は、「災害に強い安心して誘客できる観光地の防災のため、限られた財源・職員を有効に活用し、地域住民と一体となって連携を図り、予防消防を重点に少数精鋭で信頼される消防を目指し努力しております。」と力強く結ばれた。 (飯塚 文治)

019-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION