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◇二宮町消防本部◇(神奈川)

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当本部は神奈川県の西南部に位置し、東京からの距離は約70kmである。東は大磯町、北は丹沢連峰を背に中井町、西は川をはさんで小田原市、そして南は紺青の海原、相模湾に面している。町の東西には東海道本線、国道1号線、西湘バイパス及び小田原厚木線がはしり、南北には県道秦野二宮線があってそれぞれ町道と連結し、住民の利便に供されている。

気候は冬温かく夏涼しい地中海型で、豊富なオゾンと新鮮な海の幸、山の幸に加え、純朴な風土とすばらしい生活環境により、昔から「長寿の里・湘南二宮」として知られ、首都圏への通勤圏内にあり、住みよい湘南の住宅地として発展している。

消防本部は昭和47年2月1日20人で発足、その後増強され、現在は、37人の職員で管内面積9k?uに住む約31,000人の安全を日夜守っている。また、この4月からは課制もしかれ組織の充実強化が図られている。

★救急体制の整備・充実

当本部における昨年1年間の、救急件数は880件で、年々増加している。管内は遠方でも5分以内で現場に到着し、救急病院も5〜7分以内の距離にあり時間的・質的にも恵まれている。また、救急救命士は平成6年度から8年度まで各1人誕生し、9年度4月横浜市の養成所へ1人入校し研修を受けており、昨年7月から救急救命士が乗車する救急隊が1隊運用されている。

この4月から湘南の消防本部を中心として救急隊員の教育体制をバックアップする「湘南救急活動研究協議会」が発足した。内部に研究専門部会を設け、救急活動について独自に研究を進める計画で、地域の救急体制に貢献すると期待されている。同協議会は東海大救命救急センターの全面的協力で毎月1回救急セミナーを開催するほか、救急隊員が携わった症例の研究発表会の開催、大地震などのテーマを選んだ特別企画講座の開催が三本柱となっている。対象は?U課程修了者以上が中心で生涯教育の場として自分たちの自主運用で事例研究会が行われている。

★「防火の日の制定」

当本部では、平成9年4月から町民が自主的な防火意識の啓発と防火思想の高揚を図り、火災による被害を軽減することを目的にして、毎月1日を「防火の日」として制定した。この日は町の広報誌に掲載するほか、防災行政無線による火災予防広報、消防車両での広報、町民及び事業所等に対する防火教室の開催、家庭及び事業所等の自主防火点検の励行を呼びかけている。

★大災害に備えて

神奈川県西部地震や東海地震が想定されるなか、消防団との合同訓練を含め、自主防災組織(町内会)を全地域で設置し、地域での訓練を行い育成している。阪神淡路大震災を教訓に自分の身は自分で守るということで、応急手当の普及講習会(写真)もハイピッチで進んでおり、人口31,000人のうち100人に1人以上の割合で、講習を修了している。また、現在飲料水兼用の防火水槽も建設中で、耐震性の防火水槽も着々と整備・強化されている。

★体力の維持とチームワークで

体力維持管理制度が制定されて5年目になる。朝はランニングを中心にマット運動や機材を使用して体力づくりを行っており、これは習慣になっている。

最後に脇消防長は、「いざという時のために、また、消防業務を円滑に進めるため、日常の中でチームワークを大切にしている。また日頃から各自の健康づくりと家族・家庭を大事にし、地域との連携を密にし、信頼される消防をめざしていきます。」と力強く結ばれた。 (飯塚 文治)

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