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に溶け込んでおり、各家庭への警火心の高揚について、この夜間警戒の効果は絶大であると確信している。

この夜間警戒とは別に消防団等との連携をとり、次の警戒を実施し住民に火災予防を訴えている。

○観桜会特別警戒

○春、秋の農繁期特別警戒

○歳末特別警戒

○悪気象時の警戒巡回

その他、特に名称は用いていないが春先の枯草焼きの警戒や、秋の稲ワラ焼きの警戒など地域の特殊性、季節等その時々の機会をとらえた巡回広報を実施している。

 

2 自主防災組織を通じての普及活動

能代市では、昭和24年の大火後、全市内の自治会単位で火災予防組合が結成され、次いで火災予防組合連合会が組織された。

この火災予防組合連合会は、現在、市内19,329世帯のうち17,685世帯が加入し、264組合で構成され、その主な活動は当該地域での防火座談会の開催、消防職員との火の元検査の実施、一人暮し宅や空家調査、また、防災訓練への参加などである。

この他、広報チラシの配布、ポスターの掲示、火災予防週間及び特別警戒時の吹き流しやのぼりの掲出等、幹線道路から離れた地域や道路狭溢地区の住民にとっては「火の用心」に確実に触れ、また、目にすることのできる数少ない機会、いわば「火の用心」との接点であり、我々の活動を広く各家庭に浸透させるための大きな手段となっている。このような組合が、市の行政協力機関として組織されていることは、大変心強いものである。

また、昭和50年から昭和60年にかけ農家をとりまく経済情勢は大きく変わり、兼業農家が大幅に増加したのにつれ、生活形態や生活様式が変化し、農村地域の火災件数の増加が目立つようになった。そして昭和58年、日本海中部地震の発生を教訓に「自分達の地域は自分達で守る」をモットーに、これら農村地域の主婦を中心に自主防災組織設立の気運が高まり、昭和60年9月、能代市婦人防火クラブ連合委員会が設立された。この婦人防火クラブ連合委員会は現在8地区に500人余りの会員を有し、軽可搬ポンプ操法の訓練をはじめ消火器取扱い訓練、普通救命講習、他市町村への研修視察、防災訓練への参加などにより地域の指導的立場で意欲的な活動を展開している。広報活動として、春秋の火災予防運動期間中に地区別の巡回広報を実施している。家庭で最も火を扱う機会の多い主婦が、クラブ員として活動していることでクラブ員の家族の火災予防に対する認識も変わり、知らず知らずのうちに「火の用心」の心が伝わっていくものと大きな期待を寄せている。

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今後の活動

年々確実に進む高齢化の波は当市に於いても同様で、これら災害弱者に対する防火・防災指導を考える時、我々行政のより能動的できめこまやかな指導が必要になっていくことは必至である。そのためにも今、前述した自主防災組織をはじめ市内の小学校、幼稚園等の幼少年防火クラブへの参加及びその活動を促進し、身に付いた知識、習慣としての防火防災の指導を重ね、市民全体にとぎれることない防災の根を広く、そして深く伸ばしていけるよう将来を見据えた活動を展開していきたいと考える。

(米川 紀夫)

 

 

 

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