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の部屋の上部(部屋の一部を通路としてカーテンで仕切られていた。)から煙が出ていた。

火災に気づき家の者に「奥へ逃げろ、奥へ逃げろ」と行って1階へ消火器を取りに行き2階へ上がったときには、その部屋は炎に包まれていた。奥の部屋で動く物音がしたので「奥へ逃げろ」と叫びながら消火器を使用したが消火は出来ず自分も熱くて辛抱できなくなり、1階で寝ていた母親を起こして表へ飛び出したものである。

 

3 消防活動概況

「堺町○○商店から北へ100m行った所の○○さん宅が火事です。」の通報により出動した。

火災現場は消防署から北東へ約200mの地点の直近火災で現場方面を望むと上空は真赤に染まって見えた。

1分後に現場到着したときは、2階のすべての窓から炎が激しく噴出しており、火災最盛期の様相である。先着隊は直ちに2線放水体形を取り、1線は路上放水、他の1線は屋内進入を行ったが、1階は燃えておらず2階のみの火災であったので、階段部分から2階への放水を試みたが、火炎と落下物等で有効注水はできず消火活動は困難を来し、屋外からの放水に切り替えた。後着隊2隊は、火点側面と背面へ回り計5口の放水体形を取っていた。このころ現場指揮隊長に出火建物の主人から「中に家族が3人いる」との情報が入り、急きょ放水隊の1隊を人命検索隊として編成し1階の内部を検索したが発見できず、階段から2階へ上ろうとしたが火炎が激しく進入できる状態ではなかった。やむを得ず二階ひさしに上り内部を確認しようとしたが、依然として火炎の噴出が激しく目視はできなかった。

鎮圧状態に入り屋内進入により3人の遺体を発見するに至った。

 

4 教訓

火災による死者の発生は、 一般的には熟睡中とか病弱者によるものが多いが、今回のように就寝していない状況の中で、なおかつ、妻や子供が火災初期に匂いなどによって異常に気づいていながら避難できなかったことについてはまことに残念である。

有毒ガスによる神経麻痺や一酸化炭素中毒によって逃げ遅れ、焼死する火災はよく発生しているが、この火災のように発生後わずかな時間、または、わずかな有毒ガスの吸入によって健全な人間が意識のあるうちに四肢の行動を奪われ死に至ることについて、改めて有毒ガスの恐ろしさを思い知らされるものがある。

 

5 おわりに

当消防本部では救助工作車は火災出動時、同時出動しているが専従の救助隊員がいないため、現状では火災現場において消防隊員の中から検索隊を指名して編成しているが、火災現場においては既に各隊がそれぞれの活動に入っているため、新たに救助隊を編成するには時間を要し即応に困難なものがある。特に最近の建物は火の回りが早く、有毒ガスの発生要素が多く、人命危険が大きくなり、小規模な消防本部にあっても専属の救助隊を置き現場到着の初期から救助活動のできる体制が望まれるところである。

(池田 友昭)

 

救  急

高規格救急車の運用開始

北広島市消防本部(北海道)

 

はじめに

北広島市は、石狩平野のほぼ中央に位置し、道都札幌市に隣接しており、至近の千歳空港、JR千歳線・国道36号・国道274号・道央自動車高速道など交通網に恵まれていることから人口が急増し、住宅地と工業団地の開発が著しくなっております。

また平成8年9月1日、北海道で33番目の市として昇格しました。

都市化は急速に進んではいますが、原始林や田畑・牧場が点在する緑豊かなまちでもあります。

現在、人口は約55,000人で市街地が

 

 

 

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