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1) 平水中

・ 油回収装置は問題がなく作動した。

2) 波浪中

・ 波長8m-波高0.24m(波傾斜1/33)では、油回収装置からの反射波や同装置の上下運動により渦流が発生した。

(5) まとめ

次年度予定している高粘度油に対する各種油回収装置の油回収性能試験の調査として予備試験を実施した。この予備試験の結果から、本水槽で実施できる油回収試験の範囲や問題点等をまとめると次のとおりである。

1) 本訓練水槽では、現有の油回収装置の大部分が実機での性能試験を実施できる。ただし、油回収船、船体個縛タイプ等の装置については検討を要する。

2) 水槽特性の調査結果から、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則第33条の11第1項第1号に定められている、波長10m-波高0.3mの波を発生させることができない。

3) 使用する供試油の粘度、油層厚等について十分な検討を要する。

4) 波浪中では、油回収装置の浮体部等から反射波や上下動による渦流が発生し、波浪による影響が大きいことが判明した。前述のように本水槽では、同規則で定める波長10m-波高0.3m(波傾斜1/33)の波を発生させることができないことから、波傾斜が同じ波長8m-波高0.24mを基準とし、油回収装置の挙動等を観察しながら波長-波高を適宜調整する。

5) 油回収装置の性能値及び使用限界値を調査・実験することとするが、それぞれ油回収装置のシステムについても評価することが必要である。(例えば、移送ポンプの型式、ホースの形状、回収油の仮貯蔵の形態、静置式か前進式か、前進式の場合、曳航方法、集油装置等)

6) 油回収効率(RE:Recovery Efficency)、時間当たりの油回収量(ORR:OilRecovery Rate)等の数値については、波浪の状況、集油状況、油の種類、粘度等に大きく影響される。このため、一定の条件で試験を行った数値でその装置の特性を全て把握できるものではないことから、今後の試験ではこれらの数値は、特に重視するものではない。

7) 性能試験においては、油の回収状況、装置の挙動等について試験実施者の観察・評価等が重要な要素となる。

 

 

 

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