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C型肝炎が4〜9%といわれているのに比べればはるかに感染率は低いといえます。HIV感染が起きた例はかなり深い針刺し事故であったとか,実際に血液を注入してしまったというケースのようです。しかし, こういう事故をできるだけ起こさないことが予防として大切です。

性行為による感染は男女間相互に,あるいは男性から男性へ起こり得るわけです。ゴム製のコンドームの使用で性行為による感染防止は可能であるとされています。

感染者の母から生まれた児へのHIV感染ですが,これは子宮胎内での感染,出産時に起こる感染,それから母乳の中にHIVが含まれますので,授乳による感染という経路の三通りの場合があります。一番多いのは出産時といわれています。

母児感染のリスクは15〜40%といわれていますが,妊婦が感染者の場合には最近は妊娠3カ月を過ぎた段階で,妊婦に抗ウイルス薬のAZT投与を始めて,分娩のときもAZTを注射し,新生児にもすぐAZTの内服を開始します。そうすることによって母児感染率は8%に減って有意に母児感染率は減少します。米国ではこのようにルーチンに妊婦のHIVの検査をして,陽性であればAZTを内服してもらうことが行われています。催奇形性という問題は実際には起こっていないようです。

 

9.HIV抗体検査

血液中のHIVの抗体が陽性になるのは平均して感染後2.1カ月といわれています。75%の人は感染して3カ月後までにHIV抗体は陽性になり,95%の人が6カ月後までに抗体は陽性になります。感染のリスクのある機会があって,HIV抗体ができているかどうかを調べたい場合は,2カ月以内に調べてもあまり意味がないのです。3カ月たってから調べるべきです。一応6カ月後まで調べて陰性であれば,その人はほぼ

 

 

 

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