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にかかっているのだということが理解できるように説明しておきます。10日後,1か月後,人によっては半年後,いよいよ話しておいたあの薬を使わないと痛みはとれないから使いましょうというようにアプローチすれば患者さんは受け入れやすくなるのではないでしょうか。

私は,麻薬であるということやモルヒネであるということを患者さんに告げています。話しておかないと薬の管理がおろそかになったり,よく効く薬だからといって,お年寄りの患者さんが孫にのませたりすることがおこると困るからです。

 

――MSコンチン錠内服中,あるいはモルヒネ内服中に併用してはいけない薬はありますか。

あります。モルヒネと拮抗作用のある薬で,その代表はナロキソンです。

ナロキソンと同じような性質をもっていて,その作用がごく弱い薬がみなさんの回りにあります。モルヒネと同じ作用をもちながら,モルヒネと反対の作用を同時にもっている薬で,拮抗性鎮痛薬と呼ばれる薬です。ペンタゾシン(ソセゴン)です。したがって,ソセゴン+モルヒネというような使い方は,一方で水をかけながらもう一方で火をつけているようなことになりますので,原則として併用をしてはいけないのです。

 

――MSコンチン錠の胃に対する刺激作用はあるのでしょうか。

MSコンチンはモルヒネ製剤ですから,アスピリンのような胃への刺激作用はありません。しかし消化管の動きを低下させて便秘にする作用があります。これだけが消化管に対する作用です。吐き気は胃に対する作用ではなく,モルヒネが脳の嘔吐中枢を刺激しておこす作用が主な原因です。

 

 

 

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