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ところが,先頃のNHKテレビで放映されて話題になりましたが,近頃の若い医師は聴診器を使えない人が少なくないというのです。患者さんの胸に聴診器を当てて,じっくりと体の中の音に耳を傾ける。それに合わせて皮膚の状態や栄養の具合も観察する。このような医師にとって必要とされる基本的な技術が,現在の医学教育ではないがしろにされていて,すぐにMRIとかCTスキャンをオーダーしたりするなど,めったやたらに検査項目に印をつけたりします。ところが,先にもお話ししたように,医療費削減が焦層の急ですから, こういうオーダーはそのうち保険を通らなくなるでしょう。もう一度,問診の重要性が見直されなければなりません。

 

電話による健康相談

さて,患者さんの話をよく聞くことによって人々がよくかかる病気(Common disease)の7割もの診断がつくのであれば,体の具合の悪い人がわざわざ遠くの病院まで出かけていき,何時間も待たされて診察を受ける必要があるでしょうか。

1997年6月,私は台湾で開催された国際健診学会に出席したおり,美兆健診センターを見学しました。この施設では一日3シフト,各60人ずつ,合計一日180人の健診を実施しています。会員制度によって運営されているのですが,電話相談のセンターが設けられていて,会員から寄せられるあらゆる質問に経験豊富なナースが対応していました。寄せられる相談に対して,ナースは手元の健診

 

 

 

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