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が現状です。問診だけでなく診察も申し訳にやる程度のことが多く,そしてやたらに検査が行われ,薬も数多く処方されています。

看護婦さんも忙しくしているのは同じです。患者さんは何か聞きたいことがあっても, とても気軽に声をかけられるような雰囲気ではありません。

一方,日本の人口の高齢化はますますその速度を増しています。高齢者が増えるということは,当然病人も増えるということです。医療のニーズは増すことはあっても,減ることは考えられません。厚生省は,増え続ける医療費に歯どめをかけるためもあって,介護保険や在宅医療などいろいろな政策を打ち出していますが,まず上に述べたような医療の現状を私たちは早急に変革しなければなりません。

 

これからの医療ほどのような方向に進むのか

京都大学総合診療部の福井次矢教授の研究によりますと,胸痛を訴えて外来を訪れた患者のうち,ていねいな問診によって71.1%は診断をつけることができる。そして,医師の診察所見を加えるとさらに5%アップして76.1%,これに簡便な迅速検査データを加えると81.4%になると報告されています(福井次矢,「病歴・診察・迅速検査データの有用性――胸痛患者の診断プロセスにおける定量的評価」)。このことは医療の出発点である初診の際の問診がいかに大事であるかということを示すものです

 

 

 

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