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大きく考えれば、船舶の中に小型艇もはいる筈です。大型艇(クルーザー)のクルーとして参加し、ヨットを楽しんでみえる方はオーナー次第で、基本的には小型艇と一緒で、大変な指導力が必要と思います。時代の進歩は、人力⇒風力⇒動力エンジンと推進力は進歩し、船型も安全を第一に考え、より一層横流れに対して抗力の出るように変わって参りました。

さて船が進むのは、櫓(ろ)船の後ろに支点を置いて、柄(え)の部分を左右に押したり引いたりの動作を繰り返します。この運動が、丁度プロペラを半分回すと同じ効果となって、船に進む力を与えます。オールの場合は、櫂(かい)の先を水中にいれ、漕いで船を進めます。中櫂(うちかい)櫂を短くしたもので支点がなく、水面を打つように水をかきながら船を進めます。因みに櫓(ろ)は東南アジア→中国→日本と伝わって来たものです。

ヨットが走るのは、飛行機が飛ぶのと同じ原理です!翼の断面は、弓の様になっていますが、その上面を空気(気体)が流れますと密度が薄くなり上に持ち揚げられます。従って飛行機は飛ぶ事が出来ますし、ヨットは帆が同じ働きをして船を前へ進めます。(流体力学のベルヌーイの定理)=(流れの速さが速いほど流れの内部での圧力は小さく、遅いほど圧力は大きい)(スループ型にはスロット効果も出て参ります)

ヨットは、真正面からの風を受けては進めません。こんな時に目的地へは、ジグザグ運転を致します。これを方向転換と言い、帆とシートの扱い方法で、タッキング、ジャイビング、ウエアリング等色々なテクニックを駆使して、風上の目的地に到達します。

さてここで注意しなくてはならぬことは、帆の操作とセンターボードの扱い方です。風の吹いて来る方向には絶えず注意を払い、風を真横から受けない様にすることです。どうしたらよいかご説明申し上げますので、海上安全指導員の皆さん、宜しくご協力ご指導下さい。

恐いのは、ヨットはどんな角度からでも風を受ければ船は走ります。従って、どの様な角度から風を帆に受けたら安全に最も速いスピードが出せるか?

(1)風の吹いて来る方向を、風位と言うことにしましょう。風位=Wの船の進む方向を、船の進行方向としましよう。進行方向=X

(2)X線とW線が交って作る角度の2等分線上に、船のブームを引けば最高のスピードが出せます。

●引き過ぎれば船はヒール(傾き)が大きくなり、船は風上に急旋回し(ウェザーヘルム)危険大、沈に至ります。

●緩めれば帆はシバーし、船は風下へ(リーヘルム)最後に船は止まります。

この様な船は、ベテランが見れすぐに判ります。

 

一見して左記の様な船は、要注意です。

・風のわりには船が傾き過ぎる。

・ジグザグ運転にて方向が定まらない。

・風上に上り過ぎにて、すぐ風位に立ってしまい停止勝ちの船。

このほか色々と指導点はありますが、ロープワークを含め、後日に致したいと思います。

 

 

 

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