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実際昔からクルーザー級やディンギー級の公式行事に参画している私が、現実に指導者として、またレースの運営当事者として、経験にもとずき真剣に考えた時に、小型船操縦士の免許制度が、本当に効果を挙げているだろうか。さて如何なるものか。

ただこれだけは言えると思います。寧ろ小型船舶操縦士免許を(動力船)取得することにより、全ての小型船舶に乗れると言う甘い考えが、逆に我々の管轄するヨットや他の一般のヨットを含め事故寸前のトラブルや特に整備不良及び操帆技術の質的低下による未熟さが原因と思われるトラブルなど、数えれば切りがありません。

従って操帆技術の向上に必要なものは、短絡的な考えかも知れませんが、小型帆船操縦士(操帆)なる操帆技術を主体とした免許制度を、必要とするのではないか。

ディンギー級(小型艇)の大会である国民体育大会、全日本実業団選手権大会においては、もう二十五年も前から自主的に(財)日本ヨット協会自体のバッジテスト制度(初級、中級、上級、指導員、上級指導員)を設け、指導を主体に置きながら、レースに因る海難、水難防止と安全対策上、選手の絶対的参加資格にしております。更に保険付(財)日本ヨット協会(文部省)の会員であることを条件に安全対策の一方法として是も絶対的参加資格にしております。この保険は、(財)日本ヨット協会の会員となることで、自動的に保険に加入され、部活動は勿論のこと愛知県ヨット連盟の関係するレースの事故には、全て支払われる事になっております。

 

注(1)ディンギー級(小型艇―(財)日本ヨット協会―文部省)全日本選手権、国民体育大会、オリンピック参加代表選手決定レースetc.

注(2)クルーザー級(大型艇―日本外洋帆走協会―運輸省)身近なレースでは、エリカカップ、パールレースetc.

注(3)レースの参加資格はバッジテスト中級以上です。

 

法律による規制にてこと足れりと考え、指導並びに安全対策は出来たと思う裏側に潜む事故発生寸前のぎりぎりのトラブルは数え切れず、特に帆走技術の正しい指導が望まれす。

聞き流したい話題ですが、指導する船舶の中で機関室の始動前の換気、換気扇の回転確認もせずにエンジンを始動する等、まかり間違えば、爆発の危険を知らない小型船舶操縦士がいることも驚きの一つです。特に夏は絶対注意しなくてはなりません。

さて、この様な状態をいかにしていったらよいか。いくらベテラン海上安全指導員が頑張ってみても、満足出来る指導効果は望むべくもなく、いたずらに無事を願いつつ時の過ぎるのを傍観して居ると言ってもよいでしょう。この際、私は原点に帰るべく発想の転換が必要と思い、その案の一つをご披露申し上げたいと思います。

 

 

 

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