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寄せ集めて作られた国際統計から,海洋における人間の社会的活動の総体を把握することは困難である。国家という枠組みを越えて地球を一つの全体として把握したグローバル統計の一環としての海洋統計の体系を確立する必要がある。

国家の枠組みを越えた海洋会社科学を確立すること,そのための学際的研究を推進することを提案したい。

 

3-3-6 海洋生物のCG表現

 

1. 産業利用におけるCGの歴史

コンピューターグラフィックス(CG)が,米国で軍事や航空機関連で使用され始めて既に20年を経ているが,日本では,CGの産業利用が始まったのが12〜13年前である。当時,流体の可視化や衝突解析等,サイエンティフィックビジュアライゼーションとしてのCG利用が本格化すると共に,CFや番組タイトルにCGが使われ始めた。その後バブルを迎え,リゾート開発や都市再開発のための景観シミレーションに巨額の投資をし,さながらゼネコン同士,CG戦争と形容される程盛り上がったものである。あわせて全国津々浦々,博覧会ブームが起こり,展博映像としての大型のCG映像に多額の制作費を投じた。

これらはいずれも“高くて時間をかけていいCG”が基本であり,産業として適正に成り立つものではなかった。なぜなら,年間のコンピューターに要する費用が人件費の数倍にも達し,しかも2〜3年でコンピューターの価値が10分の1になってしまう。実際には,2〜3年で価格が2分の1になり,スピードが5倍になるわけである。

このように,先にスタートした人ほど損をする時代を経て,コンピューターの高性能化,ツールの機能向上そして量産によるダウンサイジング(小型化,低価格化)を迎え,今やCGがパーソナルな時代となった。

この結果,CGがゲームから,CD-ROM,インターネット,そしてTV番組,映画等,様々な分野で利用され始めた。特に,NHKスペシャル「人体」(写真1)で生物CGが放映されてからは,教育用CGが市民権を得て,これを契機に全国の博物館(写真2)や科学館(写真3)で展示用として生物CGが盛んに創られるようになった。更に,“遊びながら学ぶ”をテーマにエデュテインメントソフトとしてCGを主体とした様々なCD-ROMタイトル(写真4)が出版されている。

 

 

 

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