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すわけでありますけれども、さらにその中で環境というものを一つのストックと考えて、その中から出てくるコストというものをさらに差し引こうというのがNDPlと書かれております計算でありまして、このような考え方は、国連のENRAという体系でいま議論されているわけであります。

このご議論につきましては、お二人の先生から非常に詳しいご指摘がございました。 特に私が興味を持ちましたのは、タイでは、どちらかというと消極的な破壊、即ち森林破壊というものに対して非常に関心がありましたのに対しまして、インドネシアでは、積極的に資源を使う、オイルというものに関心が進んだ。非常に対照的なご議論であったかと思います。

この問題に関しましては、竹内先生の方から、この方法論自体について若干問題があるというご指摘もありましたし、あんまりアンビシャスになるなというご指摘もあったのでありますのですけれども、私はその後者については若干の異論があります。と、申しますのは、私の学生だった時に、1950年代に始めてI・〇というのが作られたのでありますけれども、この時統計家が言っておりましたのは、「I・〇などという巨大なシステムを推計することはあまりにもアンビシャスだ」というご指摘があったわけであります。しかし、 I・Oを作っていることに従いまして、むしろ非常に多くの経済データがそろってきた、ということがあります。それと同じ意味で、ENRAを求めていくということは環境統計を揃えていくという意味では非常に有効なことであろうと思います。私はむしろアンビシャスであっていただきたいというな、うに考えているわけであります。

最後のテーマにつきましては、私はどちらかと言いますと、勉強させていただいたとしか言えません。最近の金融統計がドラスティックに変わっている状況で、私はこの金融統計はもっとも苦手な分野でありますので、コメントができないのでございますけれど、非常に最近のディレギュレーションであるとか、国際化であるとか、あるいはもっと進んだ情報通信というものが発達するに従って、統計がどのように変わっていくか、ということを非常に勉強させていただいたと思います。このことはいまは金融の分野に限られておりますけれども、情報化とか、国際化というのは他の分野にも今後発展して行くわけで、引き続き勉強が必要であると感じました。

尾高先生のコメントにつきましては、私はちょっとこのプロジェクトの末端に加えさせていただいておりますので、コメントするのはどうかと思いますけれども、ただこのような時代であっても、やはり、より長期的な意味での統計データを揃えていくということは、長い意味で持続的発展のためには非常に重要な情報を提供しているものであろう、というふうに考えております。

以上、ファイナル・リマークになったかどうか分りませんけれども、ここまでにいたしまして、オーガナイジング・コミティーのチェアマンといたしまして、遠方からご参加いただきました皆様方、それから本国長時間にわたってご出席いただき、かつ面白い討論をしていただきました参加者の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。

以上で、このセッションを終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

 

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