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え、実質賃金の停滞と1人当たり所得が押し上げられる状況とが併存する時期があるのかもしれません。

最後に、図7(311頁)ですが、これは、タイの公表マクロ統計に基いております。タイ経済の専門家によれば、タイの種々のバージョンのGDPデータには、簡単には結合できない問題があるとのことです。しかし、これは今後の検討課題として、図7では単純な接続結果だけが使われています。グラフの上部には平均的な労働生産性を、また下の方には資本の集約度を示しております。不思議なのは、資本の集約度は下がり続けているのに、平均的労働生産性の方は上がり続けているということです。これは、他の日本を含む国の体験とは対照的です。この種の事柄から、われわれは、タイ経済にいったい何が起きていたのかを考えさせられざるを得ません。統計自体に問題があるのかもしれません。基本的な統計の質や概念、調査方法等々についても一層考えさせられることになるわけであります。

ご静聴をありがとうございました。

議長:ありがとうございました。フィリピンの賃金のパズルについては、セッションの終りでお答えすることができると思います。

 

 

 

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