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Dissemination Standards)であります。SDDSでは、データ公表の4つの側面を認めております。これらは、まず、第1としまして、データの範囲、周期と適時性、第2に、一般公衆によるアクセス、第3に、公表データの完全性、第4に、公表データの品質であります。

アクセス、完全性と品質の側面につきましては、統計の公表についての透明性が強調されなければなりません。これらの要素はくすべての利害関係者による平等で容易なアクセス、およびこれらの統計の完全性と高品質を確保するためのものであります。また、SDDSを遵守するためには、これらの統計の公表予定表を事前に発表し、そして、データ・ソース、方法論、および統計フレームワークの十分な解説を提供しなければなりません。

SDDSは、主要な統計作成機関の「ベスト・プラクティス」(best practice)を基礎としたものでありますので、厳しい基準であります。そこで、SDDSは、任意の基準であり、実際に国際資本市場に対してアクセスを持っている国々、あるいはアクセスを求めている国々を対象として意図されたものであります。IMFでは、SDDSの発表時点から、1国たりともSDDSを完全に遵守できるような国はないだろうと気づいておりました。そこで、 IMFの方では、加入開始の1996年4月を起点として、1998年12月に終る2年間の移行期間を設けることが必要となりました。この移行期間の間は、加入時点において、公表の実務が完全にSDDSに沿ったものとなっていなくても、加盟できることになっております。移行期間の間に、前もって提出された計画に基づいて、基準を遵守できるような形に、実務を修正していく時間を与えられたことになります。

IMFでは、加盟国に関する情報と公表された統計に対応するメタデータを、インターネット上で、電子掲示板を通して提供するようにとの提案をしました。シンガポールは、1996年9月19白に電子掲示板が創設された時にSDDSに参加した最初の34か国のうちの一つでありました。その後、タイが参加して、35か国が、現在、この電子掲示板に参加しております。シンガポールとタイのほかに、5つのアジア諸国が掲載されております。それは、香港、インドネシア、日本、マレーシアとフィリピンであります。メタデータに加えて、IMFは、また、いくつかの国々と協力して、電子掲示板から実際の統計へのリンクを確立するよう作業をしてきました。現在、実際11か国におきまして、直接そのデータが電子掲示板にリンクされております。このうち3か国がアジア諸国で、即ち、香港、日本、シンガポールであります。

SDDSの創設は、市場参加者と政策アナリストが適切な評価を行うためには、正確で信頼性のある、また、適時の統計が重要であることを国際社会が認識した表れだと思います。SDDSの基礎には、公開性、透明性と完全性の原則があります。これは、金融市場における安定と秩序を担保するために重要なものであります。

しかしながら、SDDSが厳しいものであることから、加盟国は大きな困難と課題を負っております。IMFが導入した移行期間によって、アジア諸国のうちいくつかの国々は、加盟時点において完全にSDDSを遵守できなくても、加盟ができるようになっております。そして、移行期間の

 

 

 

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