〔報 告〕
「経済のグローバル化と経済・金融統計」
シンガポール 通貨庁調査局国内調査課シニアエコノミスト セリン・シア
(論文作成者:シンガポール統計局経済計算部長 スーン・テク・ウォン)
“Economic and Financial Statistics for the Global Economy”
Celine Sia Senior Economist, Economics Department Monetary Authority
of Singapore(MAS)Singapore
議長(アフリカ):午後の第3セッションでは、2つの論文が提出されており、それぞれについてディスカッションが行われます。
順序としましては、セリン・シアさんからの報告をお願いし、その後、藤江泰郎さんにディスカッサントとしてコメントしていただき、次に、一橋大学の尾高煌之助教授から報告をお願いいたしまして、ディスカッサントのビジョイ・レイチャウドリさんにコメントをお願いし、そしてまた、2人の報告者に回答をお願いしたいと思います。それでは、セリン・シアさんよろしくお願いいたします。
セリン:皆様こんにちは。このセッションにおきまして、私はシンガポール統計局経済計算部長のスーン・テク・ウオン博士(Dr.Soon Teck Wong)の論文の要点を述べたいと思います。
スーン博士に代わって、このシンポジウムに参加するようご招待いただきましたことに感謝申し上げます。
論文のタイトルは、「経済のグローバル化と経済金融統計:アジアにおける持続可能な成長」であります。ますますグローバル化している今日の世界において、各国の経済金融活動は相互に緊密に結びつけられるようになりました。国境内部の国内経済をモニターするだけではいまや十分ではありません。アジアの最近の出来事からもわかりますように、ある一国の金融危機が、国境を越えて大きな影響をもたらすのであります。
市場参加者とアナリストが様々な国々の金融経済の進展を理解し、評価する能力は、適時のデータを利用できるかどうかにかかっております。実際、メキシコ危機の直後、 IMFは、IMFと市場参加者が確実に、早期にデータを公表するような適切なメカニズムを導入することを検討するように、との要請をうけました。このようなデータが提供されれば、差し迫った金融経済上の問題について、早期の警告システムとなるわけであります。
IMFが創設したメカニズムは、「特別データ公表基準」(SDDS:Special Data