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要な点について論じております。まず、社会的な持続可能性といいますと、基礎的な人間のニーズ(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)を継続して満たしていくことでありましょう。これが、より重要なものだと思います。まず、基礎的な人間のニーズを毎日、毎年満たすことが出来るということであれば、持続可能な成長を保証することができます。

2番目が、生態・環境に関する持続可能性で、これは生態的なプロセスあるいはエコシステムの生産性や機能性を維持していくということであります。

3つ目が、経済的な持続可能性で、これは継続的な経済成長で、1人当り所得の増加の原則を含みます。1人当り所得が高ければ高いほど、人々の福祉も増大することになるわけです。

ここで、持続可能な成長とはどういうものかについて、国連環境開発委員会から引用させていただきたいと思います。すなわち、持続可能な成長とは、将来世代が彼ら自身の需要を満たすことの出来る能力を犠牲にすることなく、現世代の需要を満たす発展であると定義づけております。この定義は、持続可能性を、天然資源の利用を含む一連の変化として特長づけております。そして、持続可能性そのものは、明確に定義づけられた概念ではないとしても、この概念は天然資源の量と質が将来世代の利用のために残されなければならないという意味で、一種の警告指標となっていると言えるでありましょう。

それでは次に、天然資源と環境、およびその経済活動との関係に移りたいと思います。経済資源と天然資源および環境との関係は、持続的発展の中心であります。天然資源を自然から採取し、それをインプットとして生産プロセスで使い、そこから財およびサービスを得る。あるいは、それを直接、最終需要として世帯が使うことができるということもあるでしょう。

天然資源の枯渇と環境の悪化によって経済活動は増大し、GDPのレベルは上昇しました。 しかしながら、他方で、ストックを減少させ、また、環境の悪化を進行させて、人々の生活のすべての側面に影響を与えました。経済成長を促進することに依存している国々は、天然資源の存続およびその利用における効率性を確保するために、天然資源の管理を必要としております。そこで、こうした統計情報から、天然資源のストックとフローのいかなる時点の状況についても、できるだけ早く知ることができることになります。環境悪化の状況についても同様であります。

それでは次に、自然資産としての環境および天然資源に移ります。資産のタイプについてお話しします。実際、天然資源とは何であるのか、天然資源ということを論じるが、それは何であるのか、について定義しなければなりません。天然資源および環境とは、地球の中にある、あるいは地球の上で発見されるすべてのものであって、潜在的に利用可能であり、そして、いままで、経済における財およびサービスの人手可能性を増大させるための生産プロセスに組みこまれないできたものであります。

エコノミストにとって、天然資源は資本として扱うことができます。それらは生産要素であり、これをインプットとして、労働、資本、原材料と結合して、財およびサービスを生産するものであ

 

 

 

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