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学・短大では、博士課程に至るまでの種々のレベルで環境研究の課程を設け、学位を与えております。初等、中等教育におきましても、環境教育が盛り込まれております。

しかしながら、タイの統計利用者と統計専門家、即ち計画立案者、アナリスト、統計作成者にとってのENRAに対する親しみやすさということを考えてみますと、国の経済計算担当者を含めて、ENRAがどういうものであるか、を本当に理解している人は極めて少ないということがいえます。

経済取引および環境上の課題から生ずるフローとストックのすべてのデータは、ENRAにとって必要なデータの基準となっております。分類については、1993年のSEEAハンドブックのなかで、理想的な形の提案がなされております。しかし、国連で提案されているような完全なものが利用可能かについては、まだ問題があります。実施を容易にするためには、各国の利用におけるプライオリティにそって、ストックとフローのデータの分類を最小のものとすることがよいと思います。

タイにおけるSNAの計算では、1968年SNAの一般的な概念フレームワークおよび定義を用いておりますが、標準勘定(中核勘定)は、1953年SNAで表示されております。そこで、分類の相違があるので、信頼性を上げるために再分類が必要となります。

タイにおいて統計を利用する際の問題としては、(1)データの質、データの様式、統計が入手不可能であること、があります。また、概念、例えば所得、支出(経常支出及び資本支出)に一貫性がないことがあります。さらに、世帯消費および自己生産の財とサービスの定量的なデータ、工業のコスト構造、産業および地域ごとの資本および技術など必要なレベルの詳細データが不足しております。(2)年ごとの報告書または実施に継続性がない。(3)ユーザーと統計専門家との調整システムが欠落している。(4)統計業務を発展させていくための国家的な計画がない、という問題があります。統計に関しては、別表(206頁以下)でたくさんの資料をつけておりますので、興味のある方はどうぞご覧下さい。

タイにおいてENRAを実際的な形で開発していくためには、(1)NESDPにおいてENRAに責任をもつ部課を作ることが必要であります。(2)実施については、運営委員会(NESDBの幹部を委員長とする)を設けて、研究開発プロジェクトと同様に明確な目標と作業計画をもったものとすべきだと考えます。運営委員会には、政府職員のみならずNGO等を含む民間セクターの代表者がメンバーとして入らなければなりません。特に環境問題に関心があるわけですから。(3)ENRAを支援するための政策および予算には、高い優先順位が与えられるべきであります。(4)ENRAについてのアプローチは、そうするに値いし、政策が要求するような実際的なものである場合には、1993年SNAおよびSEEAに準拠すべきであります。

しかしながら、ENRAを開発していくためには、次の手段がとられるべきであります。(1)少数の天然資源で経済的に重要なものに集中すること、即ち問題指向であること、(2)作業の目標を計画し、手法を開発するについて、この勘定のユーザーを巻き込んでいくこと、(3)理論的な基礎づけ、勘定をシステムとして確立すること、実験的な勘定および方法論上の記述についての開発業務に責任を持つ人々に集中すること、(4)天然資源についての行政側およびユーザー側に勘定の作成に参加してもらうこと、(5)持続可能な発展と天然資源の長期的利用に関する行政、経済・環境、社会に関する研究論文・報告書を活用していくこと、(6)他の統計システムを開発する際に、持続的発展の面からデータの必要性を認識することが必要だと思います。

以上です。ありがとうございました。

議長:ありがとうございます。申し訳ございません、時間が限られているということでせわしなくて時間の関係上、只今のプレゼンテーションの要約はやらないことにして、次に進みたいと思います。

 

 

 

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