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すでに一人で創作すべきではなく、もちろん単独の創作は楽しいことですが、後進にある程度譲るべきです。現在多くの若者がこの業界に入ってきていますが、私は自分のテレビの仕事から得たことがたくさんあります。例えば、私は連続ドラマを撮ったり広告を作ることで、お金を稼ぎ生活を維持することができます。仕事の出来がよければ、また広告制作かシナリオ作家を選べ、その選択の範囲はずっと広がるのです。あなたは側面から多くのチャンスを若い人に提供していますが、私はそういうことを何もしていません。まず自分のレベルを高めて自信をつけていきます。私は現在テレビドラマを制作していますが、多くの脚本家がシナリオを書いているのを見て感動してしまいます。自分ではなく若者が書き、私が傍らから推敲を手伝い、立派なシナリオにできたと思わせる。こうしたことを続けていけば、若者も独立して優れた作品を作ると思います。これが私の目標なのです。

-現在の台湾映画は谷底に落ちていますが、起死回生の策はありますか。

呉念真 とても難しいと思います。現実に、まず第一に映画はメディアの一部にすぎず、メディアの最も重要な部分ではなくなりました。今の子供たちが触れるメディアはとても多く、パソコンとテレビが子供たちの大部分の時間を占領しています。では映画となるとハリウッド映画を指し、そもそも台湾映画が世界中の映画メディアに占める割合はほんの一部分に過ぎず、世界の映画メディアを占有するハリウッド映画だけで90数パーセントを占め、残りの7、8パーセントが他の世界に分け与えられているのです。例えばフランス、ドイツ、イタリア、イギリス、のような以前の映画大国の製作状況は殆ど壊滅状態に近いのです。台湾のような小さな所が太刀打ちできるでしょうか。私は無理だと思います。ですからこれからの趨勢はひとつの地域あるいはいくつかの国が共同して1人あるいは2人の監督に投資して映画を撮るように変わるだろうと思います。台湾がそうなるのは何時になるのか私には分かりません。台湾がまずすべきことは旗手を1人見つけることです。私は卵をひとつの篭の中に入れるのではなく、あらゆるメディ

 

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