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11) 病名問題について

 

本調査の結果では、精神分裂病へのイメージとしては、良いときも悪いときもあるという中立的な見方が大勢を占め、治療可能との肯定的な見方、難病、精神の分裂という否定的な見方がそれに続いた。否定的なイメージのうち、精神の分裂という現象についての不安感は、疾患としての見方からやや外れており、若年者、未婚の扶養家族を持つものにやや多く、医療経験の乏しさと、子どもに対する防衛的不安感によると思われる。肯定的イメージに結びつく要因は、精神分裂病の犯罪性は低いなどの正確な知識、またそれを実際に信じている度合い、分裂病、躁うつ病などの患者との実際の交友体験、そして隣人との交友の開放度であった。中立的な見方は、専門技能者、主婦、上記の精神障害者との交友体験であった。心の健康への関心度の高さは、夫婦、職場、退職後の生活、高齢、精神障害への関心の高さは、医学的なモデルでのイメージに寄与しているが、内容的には肯定、否定の双方がある。高齢、精神障害への関心が高いもののうちで、それ以外にとくに心の健康への関心を持たない者には、中立的なイメージが見られた。

精神分裂病の肯定的なイメージを高める方法として、正確な知識の普及、一般の地域居住者自身の開放度の向上、実際の精神障害者の生活の姿との交流の重要性が示唆された。同時に、子供を持つ若い親の不安を軽減するための啓蒙、支援も必要である。

 

12) 精神障害者への援助について

 

精神障害者への援助についてみてきたが、若年層に特徴的な傾向があるように思われる。それは、社会的援助については若年層が他の年齢層よりも厳しい見方をしており、それは「40歳未満女性」は「国や自治体が、精神障害者を援助する制度を整備すること」が行われていると評価していないことや、「国や自治体、専門家が精神障害者に関わる事件・事故の防止に努力すること」では若年層の男女ともに低い比率であったことである。

一方で、高齢者の介護や精神障害者への援助については、全年齢層が「家族や親戚」が行うことを望ましいと考えていたが、中でも若年層で高い比率を示すこととなった。

高齢者や精神障害者が一緒にサービスを受けることについて、若年層は他の年齢層よりも抵抗感が少ない結果となった。

 

 

 

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