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「好きだ」と思うキャッチフレーズは年齢によって異なる。「20〜39歳」で40.5%と最も多く好まれ、「60〜74歳」の30.5%にも好まれるのは「ゆっくり生きよう」である。

年齢が高い層に好まれるのは「人間らしく生きたい」46.6%、「共に生きる」41.6%、「心に平和を」38.1%である。現在の高齢層には、より切実なキャッチフレーズに心を引かれている。

ただ全国精神障害者家族会が使ってきた「ひとりひとりがひとりじゃない」は全体で23.7%と、取りあげたキャッチフレーズのなかで最も選択が少なかった。

また、「特にない」が9.0%と少数であったことも、キャッチフレーズで投げかける可能性を示唆したものと捉えることができる。キャッチフレーズは研究の余地がありそうだ。

「ゆっくり生きよう」で若い層で高くなっているのは、ストレスの状況のところでも述べたように、実生活の慌ただしさから少し遠ざかりゆっくりやっていきたいという気持ちが含まれているように思われる。また60代・70代で「人間らしく生きたい」、「共に生きる」が高くなっているのは、やっと自分を見つめる時間的、精神的余裕がでてきた時に感じられるためかもしれない。

 

4. まとめ

 

用語から受けるイメージについては、重く深刻な印象を与え介護負担が大きいのは、精神病であり、身近な人に使いやすい用語は、こころの病という結果であった。精神障害はそれほど重く深刻な印象を受けないが、身近な人に使いやすいかというとそうでもないようである。また精神疾患は、いずれの印象も受けにくく、馴染みが薄いようである。

「きちんとケアを受けている精神障害者は、特に他人に危害を加えることはない」「精神障害者が刑事事件をおこす比率は、一般の人が事件をおこす比率より少ない」「精神分裂病になる人は100人に1人くらいで病気がよくなれば普通の社会生活をおくることができる」等の情報について、聞いたことがあると答えた人は、約1、2割と少数である。

またその情報が信じることができると答えた人は、それぞれ約2割から3割弱とこちらも少数であった。ただそうかもしれないと思う人はいずれも5割以上となっている。情報をただ流すだけでは、届きにくいが、流し方によっては信じることができる人が増えるかもしれない。

 

 

 

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