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?章 制度・施策に対する意識

 

1. 精神障害者に対する社会的援助のあり方

 

1) 精神障害者が地域で暮らすために重要なこと(表?-1)

 

精神障害者が社会の中で、地域の人と共に生活していくために重要と思われることはどのようなことかをたずねた。全体では、「精神保健・医療・福祉の専門家が、精神障害者の社会復帰促進のために努力すること」が重要とする人が最も多く、きわめて重要50.7%、ある程度重要38.7%であった。次に「国や自治体が、精神障害者を援助する制度を整備する」が続いている。「国や自治体、専門家が精神障害者に関わる事件・事故の防止に努力すること」については、きわめて重要36%、ある程度重要38.1%と重要視する向きも大きいが、一方どちらとも言えない18.9%、あまり重要でない4.8%と否定的な意見も上位2項目よりも増えている。さらに「テレビや新聞が、精神障害者の姿を積極的に報道すること」については、どちらともいえないが39.2%と最も多くなる。あまり重要でない16.4%、まったく重要でない8.4%という否定的意見も他の項目に比べて一番多い。

 

同問について「きわめて重要」と回答したものを、消極度尺度と社会的距離尺度を用いて値を出すと以下のようになった。(表?-2)

「精神保健・医療・福祉の専門家が、精神障害者の社会復帰促進のために努力すること」は消極度、社会的距離共に一番低い。「国や自治体、専門家が精神障害者に関わる事件・事故の防止に努力すること」は消極度が一番高く、「テレビや新聞が、精神障害者の姿を積極的に報道すること」は社会的距離が一番高い。つまり社会復帰促進が重要とする人は消極度、社会的距離のいずれも低くつまり、精神障害者に対してイメージ、受け入れ共に肯定的である。しかし事故防止努力を重要とする人は、消極度が高く即ち精神障害者について消極的、否定的イメージを持っている。一方積極的な報道に期待する人は、社会的距離が高くつまり受け入れに対して排除的であると読みとることができるだろう。

 

 

 

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