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かった」体験のある人は社会的距離も減少していた。

 

4. ボランティア経験や地域関係等と精神障害者観

 

回答者の体験としてボランティア経験や、近所づきあい、および生活全般への満足度との関係を見ることにする(表?-4)。

まず、ボランティア活動への参加経験のある人には消極度が低い傾向が認められた。社会的距離にはそのような関係は認められない。

次に、近所付き合いについては付き合いの少ない人に消極度が低い傾向が認められた。

また、生活全般への満足度については、消極度、社会的距離とも有意の関係はなかった。

 

5. 関連要因の重回帰分析

 

以上取り上げた関連要因の、精神障害者観に対する独立した影響の大きさを検討するために、消極度と社会的距離尺度を従属変数とした重回帰分析を実施した(表?-5)。

前章で精神障害者観に影響する属性項目として明らかになった年齢と学歴、市町村規模、および性別を独立変数に加えて分析を行った。その結果、消極度に対して、年齢、接触体験、精神障害に関する知識、学歴、ボランティア経験が、他要因と独立して有意の関係を認めた。一方、社会的距離尺度については、年齢の影響が認められたのみであった。

 

6. まとめ

 

精神障害者との接触体験、精神障害に関する知識、精神的に耐えられない体験、ボランティア経験それぞれが消極度と社会的距離との有意の関係を持っており、特に消極度との間に明確な関連が認められた。

消極度については、前章で関係性が認められた年齢や学歴、および他の要因の影響を取り除いても、接触体験、精神障害に関する知識、学歴、ボランティア経験は独立した影響力を持っており、これらを射程に入れた啓発活動が重要であることが示唆される。

 

 

 

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