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?章 精神障害者観に関連する要因の分析(2)

〜関連要因の分析〜

 

本調査研究では、精神障害者観に影響を与え、今後の対応の仕方によっては変更可能な関連要因として、「精神障害者との接触体験」「精神障害に関する知識」「精神的に耐えられない体験」「ボランティア体験」や地域関係などを取り上げた。本章では、まずそれぞれの関連要因との関係を明らかにした後に、これらの変数の独立した影響の大きさを検討する。

 

1. 接触体験と精神障害者観

 

まず、接触体験としては、「ここ数年精神障害者と出会っているか」「その人や家族の悩みを聞いたり相談にのったか」「お見舞いや身の回りの世話をしたか」を捉えるとともに、これらの体験があるものの項目数を数え上げ、接触体験尺度とした。

表?-1のとおり、接触体験の各項目は消極度との強い関連が認められ、接触体験があるほど消極度が低下する明確な傾向がある。社会的距離も、接触体験があるほど小さくなる傾向にあるが、消極度ほど明確な関係ではない。

 

2. 精神障害に関する知識と精神障害者観

 

次に、消極度と精神障害に関する知識の有無との関係では、「うつ病・そううつ病」や「精神分裂病」「老人性痴呆症」「神経症・ノイローゼ」「アルコール依存症」に関する知識があり、それが具体的な知識であるほど消極度が減少する一貫した関係が認められる(表?-2)。

これに対して、社会的距離は、「うつ病・そううつ病」や「アルコール症」で知識があるほど減少する傾向が認められたが、その他の精神障害については関係が認められない。

これとは別に、精神分裂病の原因についての回答(素人知識)との関係を見ると、消極度が高いのは生物学的な要因や遺伝的な要因をあげた人たちであった。これに対して、消極度が低いのは、社会心理的な要因を指摘した人たちであった。

 

3. 精神的に耐えられない体験と精神障害者観

 

回答者の体験したことに関連して、「精神的に耐えられない体験」については、そのような体験があり、その頻度が多い人ほど消極度が低い一貫した傾向が認められた(表?-3)。社会的距離についてはそのような関係は認められなかった。

一方、体験の内容としては「生き生きした感情がわかなかった」「誰も知らないところへ一人で行きたくなった」を選んだ人の消極度が低かった。「生き生きした感情がわかな

 

 

 

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