?章 メンタルヘルスへの関心
1. 本研究におけるメンタルヘルスの定義
ここ数年、「ストレス社会」という言葉を新聞、テレビ、そして日常の会話においてもよく見聞きするようになった。またこころの健康を取り上げた本がベストセラーになるなど関心が高まっている。高度成長期を駆け抜けてきた日本においては、これまでこころの健康の問題が大きく取りだたされるということはあまりなかった。
メンタルヘルスとは、精神上の健康という意味であり、精神的な疾病や、さらには個人が社会の中で程良く適応した状態で生活できるか否かという問題にも関わっていると思われる。特に昨今、メンタルヘルスに関わる問題において、精神障害者の問題に限らず、教育、職場、地域社会のなかで、さらには災害時・災害後におけるこころの健康に関する取り組みが必要であることが言われている。本研究では、精神病・精神障害者に対して社会一般がどのような意識を抱いているかを明らかにすることが主な目的ではあるが、こころの問題という社会一般の共通テーマとしてメンタルヘルスの問題を地域の人と共に語り合えるよう、メンタルヘルスへの関心についても尋ねてみた。本章においては、特に年代におけるメンタルヘルスに対する意識の差を中心に見ていきたいと思う。
但し、メンタルヘルスの問題の中には当然、精神病に関することも含まれるが、次の章で扱うため、ここでは、その他の問題を取り上げることとする。
2. メンタルヘルスへの関心
1) こころの健康に関する問題