第5章 神戸港のハブ機能を強化するために
1.港湾をとりまく国内外の社会経済情勢の変化
神戸港においては、昨年3月に、被災した港湾施設の復旧が完了したにもかかわらず震災により他港へシフトした貨物の未回復などから、震災前の平成6年度と比べコンテナ貨物の取扱量は、依然として6割〜7割で推移しているのが現状である。
震災による影響
その要因としては、震災を契機として神戸港の高コスト構造や厳しい水先制限等のマイナス面が露呈された結果、荷主・船社が物流コストの見直しを行い、代替輸送ルートのコストバランス評価が一部定着したことにより、貨物が戻ってこないことが一因として考えられる。
震災以外の影響
また、神戸港の貨物が回復していない要因としては、震災による影響だけではなく、国内メーカー生産拠点の海外シフト・工場での直接バン詰め出し等物流構造の変化、国内地方港のコンテナ港化、さらには世界的な規模での外航船社のアライアンスの問題などさまざまな要因があげられる。
このように、近年神戸港を含め日本の港湾をとりまく国内外の社会経済情勢は大きく変貌している。
今後は、こうしたわが国の港湾をとりまくさまざまな動きを的確に捉え、素早く対処しながら神戸港の港勢振興に取り組んでいくことが重要である。